最新のエアロロードバイク「S-Works VENGE ViAS」をつくった男、クリス・ユー インタビュー 前編

2015/08/21

最新のエアロロードバイク「S-Works VENGE ViAS」をつくった男、クリス・ユー インタビュー 前編

S-Works VENGE ViASの開発をリードしたクリス・ユー。スペシャライズドとの出会い、職場環境、自転車の設計開発について聞きました。

最新鋭のエアロロードバイク「S-Works VENGE ViAS」をはじめ、「S-Works 6 Roadシューズ」や「Evade GCスキンスーツ」の開発をリードしたクリス・ユーが先日、イベントのため来日しました。 #Aeroiseverything のハッシュタグとともに寄せられた質問に答えるYoutubeビデオシリーズに出ているので、クリスの顔を見たことがある方は多いと思います。

製品に関する話題はYoutubeクリップや専門誌へお任せするとして、当ブログではクリス自身について、また仕事や自転車に対する彼の考えを聞きました。今回は、その前編です。ぜひご覧ください:

SPECIALIED JAPAN(以下、SJ): まずは、自己紹介をお願いします。 

Chris Yu (以下、CY): クリス・ユーです。

スペシャライズドにおける僕の仕事は、エアロダイナミクス研究をリードすること。バイクはもちろん、ほとんどのエキップメントの設計に影響する空力特性に関する研究です。また、エアロダイナミクスはプロ選手にとって、とても大切なことですので、スペシャライズドのサポート選手あるいはチームと協議することも多いです。

両親も自転車に乗るので、小さい頃から週末になると家族でライドしていました。自転車に熱中する日々でしたが、将来は飛行機をデザインする仕事に就くことが夢でした。小中高と変わらず持ち続けたその夢の実現のために、カリフォルニア工科大学へ進学した僕は、風洞実験や空気力学関連の授業履修に明け暮れました。その後、スタンフォード大学院に進み、航空学の博士号を取得しました。勉強や実験で忙殺される日々が続きましたが、大学のサイクリングチームに所属していました。

スタンフォードでの学生生活が終わりに近づいたころ、スペシャライズドの社員が同サイクリングチームを訪れました。一緒にライドしながら、彼女は当時取り組んでいた製品開発について話をしてくれました。その内容はとても刺激的なものでした。僕にとっては学生時代を通じて学んできた専門知識と、愛する自転車の両方を追求できる仕事だからです。その出会いをきっかけに、スペシャライズドとそこに働くスタッフと交流を持つようになりました。

ある日、スペシャライズドでエアロダイナミクス研究をやらないか、と誘いをうけました。初日からその実験に立ち会うためにシアトルのウィンドトンネルへ飛びました。本社とはまったく無縁の実験施設で最初の仕事に手をつけてから、もう4年経ちます。

SJ:多くのエンジニアを抱えるスペシャライズドですが、特に影響を受けたひとはいますか?

CY:マーク・コーテでしょうか。彼の仕事を引き継いでいますから。僕たちの主な仕事はエアロ研究を通じてバイクやエキップメントの進化をけん引することですが、その成果をサポート選手やライダーへ説明する責務があります。そのうえでコミュニケーション力が問われますが、マークはそれに秀でています。彼から学ぶべきところは多いですよ。

SJ:なるほど、ちなみにマークとクリス、どちらが速いですか? 

CY:場合によりますね(笑) バイクだけなら僕が勝ちますよ!けど、スイムやランをいれたらマークが勝つかもしれません。彼はトライアスリートですから。僕もトライアスロン・レースには何度か参加しましたが…. スイムが苦手なんですよ(笑)

SJ:初来日だけど、日本はどう?

CY:本当に良いところだね!僕は和食が好きで、普段からよく食べにいくんだ。カリフォルニアでも「日本」にふれる機会は少なからずあるけど、やっぱり日本に実際に来て、街を歩いたり、ひとと話したりするのはとても面白いね。日本の文化は素晴らしいよ。

日本のライダーと交流していて実感したんだけど、日本人は細部まで本当によく気を配るよね。いままで訪れたどの国よりも顕著に、ディテールへのこだわりを感じるよ。誰もがテクノロジーやエンジニアリング、それらの数値は気にするけど、日本人はそれだけでなく完成度やクオリティーをとても重要視している。今回新しく発表したS-Works VENGE ViASを持ってきたけれど、日本のライダーはみんな近くに来て、丹念に覗き込み、さわって確かめていた。ほとんどの国では、ライダーは遠巻きから観察する程度だったのにね。実際に機能するのか、それはクオリティー・スタンダードが高い日本社会で通用するものなのか、確かめていたんだろうね。

SJ:ありがとう、クリス。そういえば君自身のモーガンヒルでの1日ってどんなスケジュールなの?

CY:そうだね。

僕はマウンテンビューという街に住んでいる。シリコンバレーに位置する、グーグル本社があるところだよ。朝6時30分くらいに起きて、ニュースを見ながら朝食をとって出社する。スペシャライズド本社のあるモーガンヒルまでは車で40分くらい。会社に着くのは8時くらい。たいていのエンジニアはそれくらいには出社してるかな。

デスクに着くと、まずEメールをチェックする。ヨーロッパのエンジニアとのやりとりが多いから、夜中にたくさんメールが来るんだ。メールチェックを終えてからお昼までは、コンピューターモデリングやシミュレーション、あるいは風洞実験を行う。会議がない限りは、この3つのうちのどれかをしている。

12時15分きっかりに、ランチライドへ出かける。社員総出だよ!重要な案件がない限り、毎日ランチライドに参加している。ライドは普段は1時間ほどで、たまに1時間30分とか乗るよ。ライドを終え、ロッカールームでシャワーを浴びたら、慌ただしく昼食をとるんだ。まるで大学のようなカフェテリアがあって、格安でランチをとれるよ。

午後は実験や会議をこなす。普段は18時から18時30分くらいに会社を出るんだ。

SJ:ランチライドで速いのは誰?

CY:ライド自体、大人数だし、日によってコースも参加者も変わるから一概に誰が速いとは言えないかな。でも、みんな本当に速いよ。

全米アマチュア・ロードレース選手権が6月にあったけど、メン・カテゴリー1で優勝したのはスペシャライズドに務めるコリン・ドゥだよ。あと、マーケティングのクリス・ライカートも8位に入っている。

― 後編につづきます。

関連記事:

エアロについてアレコレを、専門家に聞きました。(2015年7月30日)

2015/08/21

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最新のエアロロードバイク「S-Works VENGE ViAS」をつくった男、クリス・ユー インタビュー 前編

最新鋭のエアロロードバイク「S-Works VENGE ViAS」をはじめ、「S-Works 6 Roadシューズ」や「Evade GCスキンスーツ」の開発をリードしたクリス・ユーが先日、イベントのため来日しました。 #Aeroiseverything のハッシュタグとともに寄せられた質問に答えるYoutubeビデオシリーズに出ているので、クリスの顔を見たことがある方は多いと思います。

製品に関する話題はYoutubeクリップや専門誌へお任せするとして、当ブログではクリス自身について、また仕事や自転車に対する彼の考えを聞きました。今回は、その前編です。ぜひご覧ください:

SPECIALIED JAPAN(以下、SJ): まずは、自己紹介をお願いします。 

Chris Yu (以下、CY): クリス・ユーです。

スペシャライズドにおける僕の仕事は、エアロダイナミクス研究をリードすること。バイクはもちろん、ほとんどのエキップメントの設計に影響する空力特性に関する研究です。また、エアロダイナミクスはプロ選手にとって、とても大切なことですので、スペシャライズドのサポート選手あるいはチームと協議することも多いです。

両親も自転車に乗るので、小さい頃から週末になると家族でライドしていました。自転車に熱中する日々でしたが、将来は飛行機をデザインする仕事に就くことが夢でした。小中高と変わらず持ち続けたその夢の実現のために、カリフォルニア工科大学へ進学した僕は、風洞実験や空気力学関連の授業履修に明け暮れました。その後、スタンフォード大学院に進み、航空学の博士号を取得しました。勉強や実験で忙殺される日々が続きましたが、大学のサイクリングチームに所属していました。

スタンフォードでの学生生活が終わりに近づいたころ、スペシャライズドの社員が同サイクリングチームを訪れました。一緒にライドしながら、彼女は当時取り組んでいた製品開発について話をしてくれました。その内容はとても刺激的なものでした。僕にとっては学生時代を通じて学んできた専門知識と、愛する自転車の両方を追求できる仕事だからです。その出会いをきっかけに、スペシャライズドとそこに働くスタッフと交流を持つようになりました。

ある日、スペシャライズドでエアロダイナミクス研究をやらないか、と誘いをうけました。初日からその実験に立ち会うためにシアトルのウィンドトンネルへ飛びました。本社とはまったく無縁の実験施設で最初の仕事に手をつけてから、もう4年経ちます。

SJ:多くのエンジニアを抱えるスペシャライズドですが、特に影響を受けたひとはいますか?

CY:マーク・コーテでしょうか。彼の仕事を引き継いでいますから。僕たちの主な仕事はエアロ研究を通じてバイクやエキップメントの進化をけん引することですが、その成果をサポート選手やライダーへ説明する責務があります。そのうえでコミュニケーション力が問われますが、マークはそれに秀でています。彼から学ぶべきところは多いですよ。

SJ:なるほど、ちなみにマークとクリス、どちらが速いですか? 

CY:場合によりますね(笑) バイクだけなら僕が勝ちますよ!けど、スイムやランをいれたらマークが勝つかもしれません。彼はトライアスリートですから。僕もトライアスロン・レースには何度か参加しましたが…. スイムが苦手なんですよ(笑)

SJ:初来日だけど、日本はどう?

CY:本当に良いところだね!僕は和食が好きで、普段からよく食べにいくんだ。カリフォルニアでも「日本」にふれる機会は少なからずあるけど、やっぱり日本に実際に来て、街を歩いたり、ひとと話したりするのはとても面白いね。日本の文化は素晴らしいよ。

日本のライダーと交流していて実感したんだけど、日本人は細部まで本当によく気を配るよね。いままで訪れたどの国よりも顕著に、ディテールへのこだわりを感じるよ。誰もがテクノロジーやエンジニアリング、それらの数値は気にするけど、日本人はそれだけでなく完成度やクオリティーをとても重要視している。今回新しく発表したS-Works VENGE ViASを持ってきたけれど、日本のライダーはみんな近くに来て、丹念に覗き込み、さわって確かめていた。ほとんどの国では、ライダーは遠巻きから観察する程度だったのにね。実際に機能するのか、それはクオリティー・スタンダードが高い日本社会で通用するものなのか、確かめていたんだろうね。

SJ:ありがとう、クリス。そういえば君自身のモーガンヒルでの1日ってどんなスケジュールなの?

CY:そうだね。

僕はマウンテンビューという街に住んでいる。シリコンバレーに位置する、グーグル本社があるところだよ。朝6時30分くらいに起きて、ニュースを見ながら朝食をとって出社する。スペシャライズド本社のあるモーガンヒルまでは車で40分くらい。会社に着くのは8時くらい。たいていのエンジニアはそれくらいには出社してるかな。

デスクに着くと、まずEメールをチェックする。ヨーロッパのエンジニアとのやりとりが多いから、夜中にたくさんメールが来るんだ。メールチェックを終えてからお昼までは、コンピューターモデリングやシミュレーション、あるいは風洞実験を行う。会議がない限りは、この3つのうちのどれかをしている。

12時15分きっかりに、ランチライドへ出かける。社員総出だよ!重要な案件がない限り、毎日ランチライドに参加している。ライドは普段は1時間ほどで、たまに1時間30分とか乗るよ。ライドを終え、ロッカールームでシャワーを浴びたら、慌ただしく昼食をとるんだ。まるで大学のようなカフェテリアがあって、格安でランチをとれるよ。

午後は実験や会議をこなす。普段は18時から18時30分くらいに会社を出るんだ。

SJ:ランチライドで速いのは誰?

CY:ライド自体、大人数だし、日によってコースも参加者も変わるから一概に誰が速いとは言えないかな。でも、みんな本当に速いよ。

全米アマチュア・ロードレース選手権が6月にあったけど、メン・カテゴリー1で優勝したのはスペシャライズドに務めるコリン・ドゥだよ。あと、マーケティングのクリス・ライカートも8位に入っている。

― 後編につづきます。

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