平林安里、そのありのままの素顔に迫る

2017/05/19

平林安里、そのありのままの素顔に迫る

最強のジュニア選手から、最強XCO選手へと変貌を遂げつつある平林安里選手。ありのままの素顔に迫った。

現在19才の平林安里(ひらばやし・あり)選手、将来有望なヤングガンである。長野県は白馬村出身の、もとはスキー選手。いわゆる白馬ジモティとして、小学校の頃から高校卒業するまではスキーレーサーだった。MTBを始めたのはこのスキー練習の一環。2012年に中学3年で全国小中学校MTB大会に優勝、まずここで全国制覇。

その後、エキスパートクラスでシリーズ戦を走り、表彰台に何度も登り、2014、2015年と全日本選手権ジュニアクラスで優勝。同世代には敵なしのジュニアとして育っていった。

スキーでは、高校3年でのインターハイ出場でジャイアント・スラローム7位、スラロームでもジュニア・オリンピックカップで優勝との成績を残した。

2016年の高校卒業時、進路としてスキーとMTB、どちらの選手になるかという選択でMTBを選ぶ。2020年の東京五輪を見越しての判断だろう。そして、安里選手を最も高く評価した「スペシャライズド・ジャパン・レーシング」に加入。高校卒業と同時にプロレーサーになった。


Photo: Mitsuo Takano

白馬村といえば、いまやMTB文化が日本一熱いとも言われている土地。そこで育ち、最強のジュニアとして成績と話題を残し、満を持してプロになった日本MTB文化のサラブレッドだ。

サラブレッドといえば、お父さんの平林織部(ひらばやし・おりぶ)さんも白馬村出身の、ワールドカップ出場経験もある元スキーレーサー。マウテンバイクで一時代を築き、「女王」とまで呼ばれたジュリー・フルタドとスキー時代に友だちだったそう。その後、ラリードライバーへと転向し、トップレベルで活躍した。本格スポーツファミリーだ。

で、さらに言えば、白馬に住むのは安里選手で3代目。安里選手のおじいさんとおばあさんは共に山好き、それぞれ京都と富山から山を登っていって山小屋で出会って意気投合。その後、白馬に降りてきて住み着かれたそうですよ。

そんな平林安里の背景を踏まえた上で、その素顔に迫る。

最近、ウイリー(前輪を地面から浮かせた状態で走行する技術)の調子はどうですか。

「だいぶ上手くなりましたね。ウィリーする時の精度は、ずいぶん高くなりました。テニスコート一周ぐらいなら普通に。下り坂だったらいくらでも。 マニュアル(ペダルを漕がずに前輪を上げて進むテク)も、ホイール径26インチなら、ずいぶん長く続くようになりました。」

今年の開幕戦での優勝では、ウィリーゴールだったとか。

「あのレースのウィニングゴールは、ウィリーゴールだと記事に書いてもらえましたが、自分ではちょっと失敗だったんですよね。」

ウィリーのコツ、平林選手なりに掴んだものを教えて。

「コツですか、そうですね。もちろんペダルを踏み込んだ時の、グッというプッシュの勢いも大切です。でもその上がった前輪をそのまま持続させるために、ブレーキと膝を使って左右のバランスをコントロールすることも必要です。

僕の場合、「アゴを引いて背筋を伸ばす」という感じです。それで体をちょっと後ろに傾けると、安定して上がるような気がしますね。いままでの僕の経験では、それが自然にできるようになってきたら、安定してウィリーができるようになりましたね。」


Photo: Mitsuo Takano

その辺のテクは磨いてる?

「今の練習の合間に、昼ごはんの後の食休みも、天気がよかったらマニュアルとかダニエルとか、バニーホップの練習をしてますね。練習っていうか遊びなんですけど、最終的にそういうのが活きてくるんで。」

乗る以外では、どんなことやってる?

「釣りをけっこうやっていますね。」

なにを釣るの?

「イワナを釣ってます。源流に行くんです。人が入らないようなところに。隣の小谷村とかに、沢があって、源流があって。そこに自転車で入っていって、釣るんです。」

どうやって釣るの?

「ルアーとか、毛バリとかで釣るんですけど、ボクは基本エサ釣りですね。餌は「ブドウ虫」っていう蛾の幼虫ですね。ニュウリョウケンを売ってるコンビニとか、酒屋さんでよく売ってるんで、そこで買って。」

ニュウリョウケン?ってなに?

「入漁券っていって、魚を釣る許可の。」

ああ、そこでブドウ虫が買えるんだ。

「父親に教わって、去年からしかけも自分で作るようにしました。おもりをつけたりして。」

しかけ作りって難しい?

「エサ釣りのしかけなら簡単ですよ。毛バリは自分で作ったりするのも楽しみのひとつらしいんですけど、ボクにはその技術がないんで。

去年、イワナを自分でさばいて食べるところまでやりましたね。ナイフでさばいて。内蔵とかを処理して食べるところまでやりました。」

うまかった?

「うまいっすね。良質なタンパク質なんで、エネルギーになります。」

すごいね。他にはどんなことやってる

「日々は、基本トレーニングなんですけど。なるべく本を読むようにしてますね。苦手なんですけど、なるべく。」

どんな本読んでるの?

「週刊誌なんですけど、『ニューズウィーク』を読むようにしてます。」

本ね、ニューズウィークね。

「父親に勧められて読んでます。毎週読むようにしてますね。内容は頭のなかには全然入らないんですけど。読むクセをつけるということで。

あと最近は、『サイクルスポーツ』とか自転車雑誌のレースレポートとか、製品レビューを読んでます。なかなか自分は、竹谷さん(竹谷賢二さん)みたいに、製品の良さをうまく言葉にできないんで。そういうところをうまく伝えられるように、と思って読んでいます。どうやったら伝えられるか、そういうのを考えていますね。」

と、さまざまがんばっている感じのMTBプロ2年生。白馬の自然児、平林安里のアリのままの素顔をお伝えした。みなさまが今後、平林安里選手を応援する時の材料としていただければ幸いである。

【筆者紹介】中村コウイチロウ
MTBの物書き。最近鎖骨を骨折して自転車に乗らない生活が2ヶ月ほど続いてすっかり染み付いた。そろそろリハビリを始めてもいい時期かも。この際なのでウィリーの練習を一生懸命して、基礎から身につけておいてみようと思っている。みなさんもぜひご一緒に。

関連記事:
スペシャライズド・レーシング・ジャパン 平林安里 レースレポート CJ-1びわ湖(2017年5月14日)
2017年、平林安里選手がXCに使うタイヤとその使い分け(2017年5月9日)

2017/05/19

平林安里、そのありのままの素顔に迫る

最強のジュニア選手から、最強XCO選手へと変貌を遂げつつある平林安里選手。ありのままの素顔に迫った。

平林安里、そのありのままの素顔に迫る

現在19才の平林安里(ひらばやし・あり)選手、将来有望なヤングガンである。長野県は白馬村出身の、もとはスキー選手。いわゆる白馬ジモティとして、小学校の頃から高校卒業するまではスキーレーサーだった。MTBを始めたのはこのスキー練習の一環。2012年に中学3年で全国小中学校MTB大会に優勝、まずここで全国制覇。

その後、エキスパートクラスでシリーズ戦を走り、表彰台に何度も登り、2014、2015年と全日本選手権ジュニアクラスで優勝。同世代には敵なしのジュニアとして育っていった。

スキーでは、高校3年でのインターハイ出場でジャイアント・スラローム7位、スラロームでもジュニア・オリンピックカップで優勝との成績を残した。

2016年の高校卒業時、進路としてスキーとMTB、どちらの選手になるかという選択でMTBを選ぶ。2020年の東京五輪を見越しての判断だろう。そして、安里選手を最も高く評価した「スペシャライズド・ジャパン・レーシング」に加入。高校卒業と同時にプロレーサーになった。


Photo: Mitsuo Takano

白馬村といえば、いまやMTB文化が日本一熱いとも言われている土地。そこで育ち、最強のジュニアとして成績と話題を残し、満を持してプロになった日本MTB文化のサラブレッドだ。

サラブレッドといえば、お父さんの平林織部(ひらばやし・おりぶ)さんも白馬村出身の、ワールドカップ出場経験もある元スキーレーサー。マウテンバイクで一時代を築き、「女王」とまで呼ばれたジュリー・フルタドとスキー時代に友だちだったそう。その後、ラリードライバーへと転向し、トップレベルで活躍した。本格スポーツファミリーだ。

で、さらに言えば、白馬に住むのは安里選手で3代目。安里選手のおじいさんとおばあさんは共に山好き、それぞれ京都と富山から山を登っていって山小屋で出会って意気投合。その後、白馬に降りてきて住み着かれたそうですよ。

そんな平林安里の背景を踏まえた上で、その素顔に迫る。

最近、ウイリー(前輪を地面から浮かせた状態で走行する技術)の調子はどうですか。

「だいぶ上手くなりましたね。ウィリーする時の精度は、ずいぶん高くなりました。テニスコート一周ぐらいなら普通に。下り坂だったらいくらでも。 マニュアル(ペダルを漕がずに前輪を上げて進むテク)も、ホイール径26インチなら、ずいぶん長く続くようになりました。」

今年の開幕戦での優勝では、ウィリーゴールだったとか。

「あのレースのウィニングゴールは、ウィリーゴールだと記事に書いてもらえましたが、自分ではちょっと失敗だったんですよね。」

ウィリーのコツ、平林選手なりに掴んだものを教えて。

「コツですか、そうですね。もちろんペダルを踏み込んだ時の、グッというプッシュの勢いも大切です。でもその上がった前輪をそのまま持続させるために、ブレーキと膝を使って左右のバランスをコントロールすることも必要です。

僕の場合、「アゴを引いて背筋を伸ばす」という感じです。それで体をちょっと後ろに傾けると、安定して上がるような気がしますね。いままでの僕の経験では、それが自然にできるようになってきたら、安定してウィリーができるようになりましたね。」


Photo: Mitsuo Takano

その辺のテクは磨いてる?

「今の練習の合間に、昼ごはんの後の食休みも、天気がよかったらマニュアルとかダニエルとか、バニーホップの練習をしてますね。練習っていうか遊びなんですけど、最終的にそういうのが活きてくるんで。」

乗る以外では、どんなことやってる?

「釣りをけっこうやっていますね。」

なにを釣るの?

「イワナを釣ってます。源流に行くんです。人が入らないようなところに。隣の小谷村とかに、沢があって、源流があって。そこに自転車で入っていって、釣るんです。」

どうやって釣るの?

「ルアーとか、毛バリとかで釣るんですけど、ボクは基本エサ釣りですね。餌は「ブドウ虫」っていう蛾の幼虫ですね。ニュウリョウケンを売ってるコンビニとか、酒屋さんでよく売ってるんで、そこで買って。」

ニュウリョウケン?ってなに?

「入漁券っていって、魚を釣る許可の。」

ああ、そこでブドウ虫が買えるんだ。

「父親に教わって、去年からしかけも自分で作るようにしました。おもりをつけたりして。」

しかけ作りって難しい?

「エサ釣りのしかけなら簡単ですよ。毛バリは自分で作ったりするのも楽しみのひとつらしいんですけど、ボクにはその技術がないんで。

去年、イワナを自分でさばいて食べるところまでやりましたね。ナイフでさばいて。内蔵とかを処理して食べるところまでやりました。」

うまかった?

「うまいっすね。良質なタンパク質なんで、エネルギーになります。」

すごいね。他にはどんなことやってる

「日々は、基本トレーニングなんですけど。なるべく本を読むようにしてますね。苦手なんですけど、なるべく。」

どんな本読んでるの?

「週刊誌なんですけど、『ニューズウィーク』を読むようにしてます。」

本ね、ニューズウィークね。

「父親に勧められて読んでます。毎週読むようにしてますね。内容は頭のなかには全然入らないんですけど。読むクセをつけるということで。

あと最近は、『サイクルスポーツ』とか自転車雑誌のレースレポートとか、製品レビューを読んでます。なかなか自分は、竹谷さん(竹谷賢二さん)みたいに、製品の良さをうまく言葉にできないんで。そういうところをうまく伝えられるように、と思って読んでいます。どうやったら伝えられるか、そういうのを考えていますね。」

と、さまざまがんばっている感じのMTBプロ2年生。白馬の自然児、平林安里のアリのままの素顔をお伝えした。みなさまが今後、平林安里選手を応援する時の材料としていただければ幸いである。

【筆者紹介】中村コウイチロウ
MTBの物書き。最近鎖骨を骨折して自転車に乗らない生活が2ヶ月ほど続いてすっかり染み付いた。そろそろリハビリを始めてもいい時期かも。この際なのでウィリーの練習を一生懸命して、基礎から身につけておいてみようと思っている。みなさんもぜひご一緒に。

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