2015.10.22

FUSEで参加、エンデューロ 第3回 6 fattieの本領発揮、からのまさかの展開

さてエンデューロの本番である。前日から雨が降りしきり、雨模様の天候と同じように路面も大幅に泥模様だ。

気温はそんなに低くはないが、それでも雨に濡れても問題ないよう、アンダーウェアや雨具、装備を準備する。今目の前にある状況に対応する。それがエンデューロの本質である。

雨の日のエンデューロでは、雨やどりも、大切な準備である。一人ずつ30秒ごとにスタートし、それぞれスタートタイムが決まっているエンデューロでは、スタート時間の近い参加者同士がなんとなく仲良くなる。こういった雨やどりの時間が、情報収集の時間でもあり、周りの選手と親睦を深めていく時間ともなる。

タイムを計測するダウンヒル部「スペシャルステージ」を走るのは、当然一人きりとなるが、次のスタートまでを走る「リエゾン」では、スタートの近い仲間と一緒に登っていく。ここでなんとなく気が合う人と仲良くなるなんていうことも、エンデューロではよくある話だ。

他の参加者はもちろんライバルではあるが、タイム計測のないリエゾンを走っているとき、特に登りセクションを登っているときは、なんというか、同じ苦行を受ける仲間という気持ちが湧いてくる。「さっきのセクションどうでした?」なんていう話をしていると、なんとなく友達になっている。エンデューロレースを走ると友達が増える。特にENSはシリーズレースでもあるので、他のシリーズ戦を走ったときの友達も増えてくる。それもいいところである。

さて、白馬47は、MTBの常設コースでもある。いつでも走れるコースであり、雨が降っても問題のない林道が多いフィールドである。とはいえ、雨が降ったシングルトラックの路面は、泥でヌタヌタでムニュムニュだ。参加者のほとんどは、その泥にタイヤを取られ、あるいは滑り、走りそのものに苦労している。

ところが6fattie タイヤは最高だ。太いタイヤは、泥の路面に刺さるのではなく、その表面を広く浅くつかむという感覚である。滑りやすいどろの表面をサワサワと走っていく感覚なのだ。

あれだ。子どもの頃読んだ『忍者の忍術』本に載っていた 水面を走っていく感じである。沈む前に、前に進む、てやつだ。この浮いてる感は、体感すると面白い。

そもそもがタイヤの変形が大きいので泥はつきにくいし、タイヤのクリアランスもバッチリだ。泥詰まりに悩む周りの声をよそに、こちらは涼しい顔だ。コンディションが悪いほど、どこまで走れるのか、走ってみたくなるぐらいだ。

登りすら軽快であった。絶好調の自分を感じていた。

ところがそれがまずかった。

絶好調で、コーナーの泥のワダチでもとばせるので油断して、コース途中でオーバースピードでコースアウトしました。崖みたいなところに落っこちて、ほんとびっくりしました。無傷でよかったです。

何事も、過信するなという神様の戒めである。

それが結果に表れている。ゼッケン329番ナカムラコウイチロウは完走者140人のところ、132位。前後の順位の人と、それぞれのステージでのタイムを比べてみると、ほら、速いのがわかるでしょ。最後のステージだけ、10分33秒とかかかってるの。崖から這い上がったから。

というふうに、いろんな言い訳ができる。いろんなストーリーがでてくる。これがMTBエンデューロのいいところだ。転んだって、怪我さえしなければ、楽しい1日なのである。プロテクターは、忘れずに。

そして27.5プラスなら、くれぐれも空気圧は低めに。

【筆者紹介】:中村浩一郎
マウンテンバイク ライダーでコピーライター。翻訳もやります。この参戦で学んだのは1)エンデューロはやっぱり楽しい 2)来年は白馬にもっと来よう、でした。

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