2016.08.01

カーボンロードバイクってメーカーによってそんなに違うの?教えてSBCU先生!

知識の泉とも言える「SBCU」の先生に、ロードバイクに使われるカーボンの違いなどについて聞いてみた!

最新のロードバイクもマウンテンバイクも、カーボン製であることが多い今日この頃。いろいろなメーカーがリリースしているけど、素材的な違いって一体何なのでしょうか?

▼目次:
ロードバイクフレームに使われるカーボンシートは300〜400   
スペシャライズド製ロードバイクのカーボン素材は特別なの ?
カーボンという素材だけで性能は担保できない

スペシャライズドの知識の泉、ショップ向けに製品説明やフィッティングの研修を担当しているSBCU(Specialized Bicycle Components University)の“先生”に、スポーツバイクについてのギモンをぶつけていくシリーズの第3回です。

前回は、スペシャライズドのカーボンバイクに採用されている「FACT Carbon」について質問し、それが「素材」ではなく「考え方」を指す言葉であることを知りました。

「FACTカーボンって何?」前回の記事はこちら>

ロードバイクフレームに使われるカーボンシートは300〜400

(前回の話)とはいえ、ですよ。やっぱり気になるじゃないですか。カーボンバイクにどんな素材が使われていて、どんなふうに作られているのか。そしてそれが、メーカーによってどれだけ違うものなのか。

さっそく、渡辺さんが教えてくださいました。

カーボンフレームには、モデルによって違いはありますが、300から400のカーボンシートを最適な形状と大きさを決め、強度の違いによって使い分けられています。そして、ライダーのニーズに合わせて、各モデルやサイズごとに狙った性能を的確に実現するために、設計・製作が行われています。どれも同じように作っているわけではなく、ライダーのニーズが異なれば製作の行程も異なってきます」(渡辺さん)

ひとつのフレームに、300〜400ものカーボンシートが使われているとはオドロキです!

スペシャライズド製ロードバイクに使われるカーボン素材は特別なの

やはり、スペシャライズドともなれば、スペシャルなカーボン素材を使っているのでしょうか。

そんな疑問に対する佐藤さんの答えは、意外とも思えるものでした。

「カーボンバイクに使用される素材は、素材メーカーから提供されるもので、その入手環境については、極端に言えばどのメーカーも大差はありません。エンジニアがカーボン素材を選定する際に基準としているのは引張強度、弾性、重量、価格です。素材メーカーにしても納入先企業の最終用途が何であるかによってカーボンの種類を分けることはしていません。従って、私たちメーカーのエンジニアはそのバイクの用途、ライダーのニーズ、つまり要求水準に対して、どのファイバーをどのように組み合わせて達成するかに苦心するわけです。さらに、私たちはカーボン設計のみならず空力、路面追従性といった機械的試験、マクラーレンとの先進的な技術協力に投資することでバイク全体の性能向上に努めているのです」(佐藤さん)

え?素材の入手環境については、大差はない?

「ないです(キッパリ)。最終生産者はスペシャライズドであり、素材メーカーが性能を担保するものではありませんから」(佐藤さん)

えーっと……。

カーボンという素材だけで性能は担保できない

「世界でカーボンフレームの製造を行っている工場も、それほどたくさんあるわけではありません。では、どこで差が出るのか?ということですよね。素材の入手環境に差がない、他のメーカー・ブランドと同じOEM工場でフレームが作られていることもある。じゃぁ、出来上がってくるものも同じなのかというと、まったくそんなことはありません」(佐藤さん)

ああ、それはわかります。私は家電製品や自動車部品の金型工場をいくつか取材したことがあるのですが、当然それらの工場は複数のクライアントを持ち、そのクライアントの要求水準にのっとった仕事をされていました。もちろん、高い技術を持っている工場ほど、クライアントの要求により高いレベルで応えられるわけですが。

「例えば、スペシャライズドには“Rider First Engineered”(ライダーファーストエンジニアード)というテクノロジーがあり、49から64までのそれぞれ7つのフレームサイズごとに、フレームを設計・開発しています。走行データを実走行で収集し、ライダーの体型によって求められる性能を可視化しています」(渡辺さん)

「データだけでなく、サイクリストからのフィードバックも重要視しています。選手からのフィードバックもひとつのやり方ですし、ユーザーの声を聞き、そしてスペシャライズドのスタッフもとにかく乗り込みます。社員自身がたくさん乗ることで、高い要求水準を持っているし、選手をはじめ他のサイクリストと会話する際の“言語”が揃っている。それが、カーボンバイクの製品作りにも生かされているわけです。スペシャライズドは、これらの総合的な力で業界をリードしていると自負しています」(佐藤さん)

前回のFACT Carbonについて伺った内容と、今回のお話で見えてきたこと。それは、カーボンバイクに重要なことは使われている素材の「番手」ではなく、サイクリストのニーズを満たすための高度な開発手法と、それを実現する技術、そして、スタッフひとりひとりがリアルなサイクリストであるということのようです。それが、メーカー間の違いとなって現れるのでしょう。

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さて、今回お話をお聞きしたSBCU先生、一般の方でも「ひとり占め」できるのをご存知ですか?

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【筆者紹介】:須貝弦
万年ビギナー状態だが、それでも自転車で地元の里山をめぐることを心のヨリドコロとするフリーライター。年に1度だけ、レースにも出ます。

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