平林安里選手が目指す世界トップのXC、その戦いの舞台とは

2016/11/21

平林安里選手が目指す世界トップのXC、その戦いの舞台とは

ジュニア時代から輝かしい成績を残し続けてきた平林安里選手が、2016年からスペシャライズド・レーシング・ジャパンとしてプロMTB選手になった。

東京五輪出場を見据えてプロという道を選んだ平林選手が戦う世界XCO(クロスカントリー・オリンピック)レーシングの世界。そのコースの様子、そして戦いそのものの様子はどのようなものなのだろう。

2016年からスペシャライズド・レーシング・ジャパンに所属、プロMTB選手となった平林安里選手。昨年までジュニアクラスとして走っていた長野県白馬村出身の19才は今年から、男子最高峰のエリートクラスで走る。シーズン序盤から過酷な海外レースを走り、本格的なレースシーズンは、オーバーワークからの筋肉の痛みによるリタイヤ、という結果となった。

平林安里 2016年シーズン前半戦の様子をチェック > 

それがシーズン後半には、そのトルクフルで力強い走りが復活。日本MTB、XCOレース表彰台の常連となった。若さあふれる力強さ、とは彼の走りのこと。そんな彼がまずは目指すのは東京オリンピック出場だ。

先日のリオオリンピックでも、そのコースレイアウトは過激なものだった。スピードは速く、見た目に凄まじく。そんなコースを目の当たりにした。次の五輪でも同様の激しいコース、そしてレースとなるに違いない。日本のトップレベルの実力を確かめた彼がその先に見る、世界XCOシーンの現在、走る側からはどう見えるのかの見え方を教えてもらった。

―現在の世界クロスカントリーのレース、その現状は?

今のXCコースの世界的な流れは、30~40秒ぐらいの上りがいくつもある、コースレイアウトです。ダッシュで上りきれてしまう上りがたくさんあって、瞬発的な力を使うことが多いですね。

それにジャンプがすごく多いです。もう何ていうか、パンプトラックのようなコブが並んでいて。そのまま飛ばずに走っても走れるんですが、それを速いライダー達はそのコブを使い、飛び越えながら加速していきます。

もうBMXみたいなコースですね。ジャンプができないと、そこで減速しなくてはいけなくなるんです。とにかくジャンプの印象が強いですね。

―これまでに多かった、自然の地形を活かしたトレールではない?

人工的なコースセクションが多いです。それにロックセクションも多くあります。走っててちょっとエキサイティングです。毎回緊張して走る印象です。「あー、ちょっとここはミスったらヤバイな」とか、ヨーロッパのレースとかではよくありますね。

―初めて海外のコースに行ったのは?

高校2年生のとき、2014年のノルウェイで世界選手権が行われて、これにジュニアクラスで出たんです。

XCコースに行くと、デカイジャンプがいくつもあって。ボクは最初飛ぶ気なかったんですけど、他の人はみんな飛んでるんですよね。あ、これはもう飛ばないと勝負にならないなと思って。ちょうどリレー当日の試走の日に思い切ってチャレンジしたんですよ。

そしたら飛びきれなくて。二つ目のウェーブに突っ込んで。自転車ごと縦に一回転して。で、痛くはなかったんですけど、脳震盪を起こしてしまったんですよね。でもその日は、XCリレーに出場することになってて、しかもアンカーとして。

転んだ2時間後ぐらいにアップして、レースに出たんですが、その記憶があんまりないんですよね。1kmぐらい走ったぐらいのところまでは記憶あって、その後なんとなく覚えてるのがゴールしたときで、ゴールした後になんか眠くなる感じで倒れたのを覚えてますね。で、次に起きたらベッドの上でした。

それが初めての国外レースでしたね。ジュニア最初の年です。この時こそ、ちょっと想像を絶するコースだったんですが、同世代の他の選手がピョンピョン飛んでるんですよね。そういうのを見たら、飛ばないわけにはいかなくて。やって、失敗して。ぼろぼろになりました。

―日本でのレースとは、ぜんぜん違う印象ですね。

そういった瞬発的な部分が多いコースが主流になっているので、日本のレースでよくある、じわじわ走って前のライダーに追いついて、前に出るという展開のレースが、海外ではなくなってきている感じがします。全体的にずっとハイスピードでレースが進み、パワーがないと難しいです。ハイスピードの中で、みんながモガいますから。なんかもう、守るような、休む場所がないんですね。下りで攻めながら休む、という感じです。

―その世界選、U23としてクラスが上になり、どう感じました?

やっぱり、力があると、前に出られる。力が上がれば、もっと前の方の集団でレースが展開できるイメージがあって。力ある人は集団からそこからピュピュって出て行っちゃう感じの人もいるんで。意外と、前に出られるときは出られるんですよね。

今回のチェコでの世界選は、コース幅が広くて、コース脇を行ったら前の方に出られたんですよね。ただその先は、みんな同じぐらいのレベルの選手が固まってきて。その中からで、もうひと踏みして上げたいんですけど、それもやっぱり気持ちも脚の具合もみんな同じで、しばらくずっと一緒なんですが、そのうち自分の速い箇所とか見つけて、で、最後に抜けて出る、という感じですね。

今回もそれで集団の真ん中ぐらいまで上がったんですが、そしたらそこで、そこまでのペースを上げすぎて脚が「切れ」ちゃって。それで1度、後ろから3番ぐらいまで順位が落ちたんです。スタートからダッシュして、そのまま維持を続ける勢いが足りなかったということですね。その後ろの順位から、またエンジン掛かり始めるまでに時間かかって。3周目ぐらいになってようやく脚が回りはじめて、そこから2,30人ぐらい追い上げて、70番ぐらいにまであげましたが、80%カットルールで完走できませんでした。これまでに経験したことのないレースでした。

―日本の最高峰レースCJ(クップ・ドュ・ジャポン)シリーズ、これまでの最上位は?

エリートでは、まだ2位が最高順位です。これから、ただ全力を尽くして上を目指していくだけです。

――――

MTB文化が盛り上がる、長野県白馬村出身の平林選手。MTBライダーとして最高の状況で生まれ育ち、そしてMTBプロとなった彼は、その雄大な白馬岳の地の利を活かしてトレーニングを行う。先に放送されたTV番組『ミライ☆モンスター』(フジテレビ系)では、標高1000m差のヒルクライムトレーニングを日常的に行っているとレポートされた。

プロとなってから、つまりMTBレース選手としてやっていくという腹をくくって1年目の新卒ライダーは、着実にトレーニングを重ね、カラダを限界まで追い込むことまでも覚え、着実に日本の表彰台の常連となった。CJシリーズ初優勝を決める日も、遠くないに違いない。

【書き手】中村浩一郎
マウンテンバイクを中心に自転車に乗り続ける書きもの業。2016シーズンは、日本MTBのXCOが、後半になってすごく熱いです。安里くん含めたいろんな若手スターに世代交代してピチピチしてます。シズル感たっぷりの2016レースシーンでした。

関連記事:
スペシャライズド・レーシング・ジャパン 平林安里 レースレポート CJ-1妙高(2016年9月29日)
スペシャライズド・レーシング・ジャパン 平林安里 ジンギスカップ参加レポート(2016年10月6日)

2016/11/21

平林安里選手が目指す世界トップのXC、その戦いの舞台とは

ジュニア時代から輝かしい成績を残し続けてきた平林安里選手が、2016年からスペシャライズド・レーシング・ジャパンとしてプロMTB選手になった。

平林安里選手が目指す世界トップのXC、その戦いの舞台とは

東京五輪出場を見据えてプロという道を選んだ平林選手が戦う世界XCO(クロスカントリー・オリンピック)レーシングの世界。そのコースの様子、そして戦いそのものの様子はどのようなものなのだろう。

2016年からスペシャライズド・レーシング・ジャパンに所属、プロMTB選手となった平林安里選手。昨年までジュニアクラスとして走っていた長野県白馬村出身の19才は今年から、男子最高峰のエリートクラスで走る。シーズン序盤から過酷な海外レースを走り、本格的なレースシーズンは、オーバーワークからの筋肉の痛みによるリタイヤ、という結果となった。

平林安里 2016年シーズン前半戦の様子をチェック > 

それがシーズン後半には、そのトルクフルで力強い走りが復活。日本MTB、XCOレース表彰台の常連となった。若さあふれる力強さ、とは彼の走りのこと。そんな彼がまずは目指すのは東京オリンピック出場だ。

先日のリオオリンピックでも、そのコースレイアウトは過激なものだった。スピードは速く、見た目に凄まじく。そんなコースを目の当たりにした。次の五輪でも同様の激しいコース、そしてレースとなるに違いない。日本のトップレベルの実力を確かめた彼がその先に見る、世界XCOシーンの現在、走る側からはどう見えるのかの見え方を教えてもらった。

―現在の世界クロスカントリーのレース、その現状は?

今のXCコースの世界的な流れは、30~40秒ぐらいの上りがいくつもある、コースレイアウトです。ダッシュで上りきれてしまう上りがたくさんあって、瞬発的な力を使うことが多いですね。

それにジャンプがすごく多いです。もう何ていうか、パンプトラックのようなコブが並んでいて。そのまま飛ばずに走っても走れるんですが、それを速いライダー達はそのコブを使い、飛び越えながら加速していきます。

もうBMXみたいなコースですね。ジャンプができないと、そこで減速しなくてはいけなくなるんです。とにかくジャンプの印象が強いですね。

―これまでに多かった、自然の地形を活かしたトレールではない?

人工的なコースセクションが多いです。それにロックセクションも多くあります。走っててちょっとエキサイティングです。毎回緊張して走る印象です。「あー、ちょっとここはミスったらヤバイな」とか、ヨーロッパのレースとかではよくありますね。

―初めて海外のコースに行ったのは?

高校2年生のとき、2014年のノルウェイで世界選手権が行われて、これにジュニアクラスで出たんです。

XCコースに行くと、デカイジャンプがいくつもあって。ボクは最初飛ぶ気なかったんですけど、他の人はみんな飛んでるんですよね。あ、これはもう飛ばないと勝負にならないなと思って。ちょうどリレー当日の試走の日に思い切ってチャレンジしたんですよ。

そしたら飛びきれなくて。二つ目のウェーブに突っ込んで。自転車ごと縦に一回転して。で、痛くはなかったんですけど、脳震盪を起こしてしまったんですよね。でもその日は、XCリレーに出場することになってて、しかもアンカーとして。

転んだ2時間後ぐらいにアップして、レースに出たんですが、その記憶があんまりないんですよね。1kmぐらい走ったぐらいのところまでは記憶あって、その後なんとなく覚えてるのがゴールしたときで、ゴールした後になんか眠くなる感じで倒れたのを覚えてますね。で、次に起きたらベッドの上でした。

それが初めての国外レースでしたね。ジュニア最初の年です。この時こそ、ちょっと想像を絶するコースだったんですが、同世代の他の選手がピョンピョン飛んでるんですよね。そういうのを見たら、飛ばないわけにはいかなくて。やって、失敗して。ぼろぼろになりました。

―日本でのレースとは、ぜんぜん違う印象ですね。

そういった瞬発的な部分が多いコースが主流になっているので、日本のレースでよくある、じわじわ走って前のライダーに追いついて、前に出るという展開のレースが、海外ではなくなってきている感じがします。全体的にずっとハイスピードでレースが進み、パワーがないと難しいです。ハイスピードの中で、みんながモガいますから。なんかもう、守るような、休む場所がないんですね。下りで攻めながら休む、という感じです。

―その世界選、U23としてクラスが上になり、どう感じました?

やっぱり、力があると、前に出られる。力が上がれば、もっと前の方の集団でレースが展開できるイメージがあって。力ある人は集団からそこからピュピュって出て行っちゃう感じの人もいるんで。意外と、前に出られるときは出られるんですよね。

今回のチェコでの世界選は、コース幅が広くて、コース脇を行ったら前の方に出られたんですよね。ただその先は、みんな同じぐらいのレベルの選手が固まってきて。その中からで、もうひと踏みして上げたいんですけど、それもやっぱり気持ちも脚の具合もみんな同じで、しばらくずっと一緒なんですが、そのうち自分の速い箇所とか見つけて、で、最後に抜けて出る、という感じですね。

今回もそれで集団の真ん中ぐらいまで上がったんですが、そしたらそこで、そこまでのペースを上げすぎて脚が「切れ」ちゃって。それで1度、後ろから3番ぐらいまで順位が落ちたんです。スタートからダッシュして、そのまま維持を続ける勢いが足りなかったということですね。その後ろの順位から、またエンジン掛かり始めるまでに時間かかって。3周目ぐらいになってようやく脚が回りはじめて、そこから2,30人ぐらい追い上げて、70番ぐらいにまであげましたが、80%カットルールで完走できませんでした。これまでに経験したことのないレースでした。

―日本の最高峰レースCJ(クップ・ドュ・ジャポン)シリーズ、これまでの最上位は?

エリートでは、まだ2位が最高順位です。これから、ただ全力を尽くして上を目指していくだけです。

――――

MTB文化が盛り上がる、長野県白馬村出身の平林選手。MTBライダーとして最高の状況で生まれ育ち、そしてMTBプロとなった彼は、その雄大な白馬岳の地の利を活かしてトレーニングを行う。先に放送されたTV番組『ミライ☆モンスター』(フジテレビ系)では、標高1000m差のヒルクライムトレーニングを日常的に行っているとレポートされた。

プロとなってから、つまりMTBレース選手としてやっていくという腹をくくって1年目の新卒ライダーは、着実にトレーニングを重ね、カラダを限界まで追い込むことまでも覚え、着実に日本の表彰台の常連となった。CJシリーズ初優勝を決める日も、遠くないに違いない。

【書き手】中村浩一郎
マウンテンバイクを中心に自転車に乗り続ける書きもの業。2016シーズンは、日本MTBのXCOが、後半になってすごく熱いです。安里くん含めたいろんな若手スターに世代交代してピチピチしてます。シズル感たっぷりの2016レースシーンでした。

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