2016.09.07

2016年クランクワークス、今どきの観かたと楽しみかた

今年も、Crankworxが8月の12日から21日までウィスラー行われた。 迫力満点の動画盛りだくさんで振り返ろう。

クランクワークスとは、世界でも有数の巨大な規模のMTBフリーライド・イベント。「MTBのすごさを魅せるため」とする、MTB界きってのお祭りイベントだ。

現在では、発祥地であるカナダ・ウィスラーに加え、ニュージーランド・ロトルア、フランス・レジェの、世界MTBパークが開催地となり、世界3箇所で行われるイベントシリーズにまで成長した。12年もの歴史を重ねたクランクワークス・シリーズ最高の盛り上がりとなるウィスラーでのクランクワークス2016。そのだいたいの種目を見てみたんだが、これがすごかった。そのすごさと盛り上がりポイントをお伝えする。

今そこですぐ観られるクランクワークス

まずすごかったのは、僕は今年ウィスラーに行ったわけじゃないことだ。クランクワークスには10ほどの種目が行われているが、そのほとんどの種目のライブ映像を、クランクワークスのホームページ、Crankworx.comで今すぐ見られる。まずこのページを開くことをおすすめしたい。

Crankworx.com をチェック >

僕も2008年のウィスラーで生クランクワークスを見たことある。がそこに至るまでの道筋は遠かった。それがウェブページでクリックするだけで全映像を見られるなんて。場所を越え時を越え、気に入ったライダーの映像を繰り返し見られるなんて。写真と文章からイメージを膨らませていた過去を振り返ると、ものすごい幸せだ(涙)。

さらに動画の細やかさもすばらしい。ネットが速ければ、ライダーが使ってるバイクや機材を、一時停止して精細にじっくり見ることができる。最新の機材スタイルを目で見て確認できる。種目それぞれのライブ映像は2時間ぐらい、フルスクリーンモードにして、早送りや巻き戻しをしながらぼんやり全部見ると1時間ぐらいで見終えられる。画面は大きい方がいいね。友だちと腰を据え、飲みながら観戦というのもやりたいところ。

まずはティーザーを観よう。現在3つの場所で開催され、2017年にはさらにドイツ・インスブルックもそのシリーズに加わろうかとする壮大なクランクワークス・シリーズ、その概要である。90秒。

そしてこちらのページに並ぶビデオで、"highlights”とマークされる動画は、その種目のハイライトを短くまとめたもの。手っ取り早くそれぞれの興奮を感じ取るなら、このハイライトサーフィンがお薦めだ。しかし腰を据え最新のMTB世界にじっとりとひたるなら、個人的におすすめしたい、クランクワークスの花形種目をお伝えしよう。

ライブで観たい、厳選クランクワークス種目

21世紀に入り盛り上がり始めた、MTBフリーライド界の頂点イベントとして2004年に生まれたクランクワークス。世界一のMTBパーク/エリアであったカナダ・ウィスラーを媒体に、レーシングとは異なるMTBフリーライドの文化を開花させたイベントだ。

メイン種目とも言える、巨大なジャンプで華麗なテクニックを競うスロープ スタイル『レッドブル・ジョイライド』を中心に、12年に渡り、MTBの最先端ウィスラー開催に恥じない、『今』ならではのかっこよさを追求した種目が並ぶ。そのなかでも僕がセレクトした、ライブ映像をダラ見しておきたい種目を下に並べた。ビールかなんかを片手にどうぞ。

FOX AIR DH エア ダウンヒル

ウィスラーのド定番コースといえば、"Aライン"。いくつだったか忘れたが、35個近くのジャンプが続く、滞空時間の大変長いダウンヒルコースだ。

このウィスラーのアイコンとも言えるこのコースは、レーススピードで走るとそのジャンプはだいたい飛びすぎてしまう。そこでスピードをいなすジャンプ技術が必要となる。そのために、ジャンプの勢いを潰す「スクワッシュ」、ジャンプを削るようにスピードも削ぎ落とす「スクラブ」となり、その勢いで車体が曲がる「ウィップ」へとつながっていく

往年のMTBライダーたちも多く出場し、速さというよりそのスクラブのスタイルを観られる唯一のイベントでもあるのが、このエアDHだ。

このエアDHでの優勝を目されていたゼッケンナンバー1は、2015年のダウンヒル世界チャンプ、スペシャライズドのロイック・ブルーニ。お父さんも元ダウンヒルレーサー、1990年代後半のフランスDH最強時代に子どもとして育ってきた生粋のフランスDHレーサーである。速さとスタイルを持ち合わせた、いわゆるいまイケてるライダーだ。

チームSpecialized Gravityとして、S-Worksのマシンを駆るロイックは、エアDHの最終スタートとなった。果たしてその結果は・・・?

REDBULL JOYRIDE レッドブル・ジョイライド

数々のMTBフリーライド・スターを生み出してきたこのジョイライド、その歴史のなかでも個人的な最も大きな見どころシーンは、「スロープスタイルの帝王」と言われてきたブランドン・セメナックのファーストラン、まさかの!!! である。しかもこれがついこの間の映像だっていうんだから、世の中わかんないものである。

SHOWTIME 🔥 Tune live on crankworx.com 7.30 CEST #joyride #whistler #crankworx #prayfornowind

Mehdi Ganiさん(@mehdigani)が投稿した写真 -

今回のライブで個人的に注目したのが、8位だった技術的にはなかなか高いのだが、その荒削りさが目立つのか点数が上がらないフランスのメーディ・ガニ、が乗るスペシャの日本未発売のスロープスタイル用フルサスフレーム。

イベント自体は圧倒的な完成度と美しさで、ブレッド・リーダーが勝利。7分ほどのハイライト画像で見てみるのもいいけれど、ライブ映像ですべての走りと挑戦を噛み締めながら早送りするのがいいかと思う。

ライブ画像であれば、このジョイライドの常連だったスウェーデンの長身イケメンライダー、スペシャライズドに乗るマーティン・ソダーストロームが見られる。彼は8月初旬に撮影中に怪我をして未出場、解説側に回っている。彼の長身を活かした美しい走りは、さきのマーティンのリンクから。先の8月頭に公開された、レッドブルで、黄色い花畑を飛ぶ美しい映像をどうぞ。

Redbull Japanのサイトにあるこちらの記事もぜひ、どうぞ。

CRANKWORX WHISTLER OFFICIAL WHIP-OFF WORLD CHAMPIONSHIPS クランクワークス ウィスラー 公式『ウィップオフ』世界選手権

Torqued. PC: @maddogboris #iamspecialized #givesyouwings

Finn Ilesさん(@finniles)が投稿した写真 -

『ウィップオフ』とは、ジャンプの最中にバイクの車体を大きく横にひねるテクニック。空中でのスピードコントロールにも使われるテクニックで、単純に技術ではない走りの形としての美しさ『スタイル』が浮き彫りとなり、イケてるライダーをあぶり出す。

その『公式世界選手権』と銘打ったこのジャンプスタイルコンテストで、優勝したのは、Specialized Gravityのフィン・イルズ。スタイルの証明ともなるこの優勝をきっかけに、フィンはこれからさらなる大舞台で活躍していくことだろう。未来を見据えて注目していたいスタイリッシュなライダーだ。

ウィップコンテストは、ハイライトを繰り返し見て、次の自分がエアするときの身体の動かし方のイメージを造っておきたい。

ULTIMATE PUMP TRACK CHALLENGE PRESENTED BY ROCKSHOX アルティメイト・パンプトラックチャレンジ

もはやUCI競技に入れてもいいのではないかと思うパンプトラック。チェーンを外し、ペダルを一切こがずパンプのみで競うというこの最新MTBスタイルは、まさにMTBなうの宝庫、一見の価値あり。このハイテク時代にきて光るハードテイルでのプッシュ! バームの走り方! いつか必ずくるパンプトラックを走るためのイメージ作りにも最適だ。これが現在世界最速のこがずに進むテクニックである。

というところが、2017年クランクワークス・ウィスラーの主な見どころだ。繰り返しになるが、これからでも腰を据えてビール片手に好きなときに観られる、というのをお伝えできることが、なによりも嬉しい。

【筆者紹介】:中村浩一郎
マウンテンバイクのライダーでぼんやり物書き。まち中で練習を重ねておくほど、実際のトレールでもライドに深みが出ると、日々ライドの練習をしています。マニュアルを中心に、1日10分ぐらい。続けると自信になるよね。

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