2020.10.27

SBCU先生が解説!新しいStumpjumperとStumpjumper EVO

「いったいどこが新しくなったの?」「どこがすごいの?」という疑問に、製品説明を担う部署SBCUの板垣と小田島が解説します。

元祖マウンテンバイクといえばStumpjumper(スタンプジャンパー)。1981のデビュー以来、MTBの歴史とともに進化してきたこのバイクの最新型が発表になりました。

「いったいどこが新しくなったの?」「どこがすごいの?」という疑問に、スペシャライズドジャパンの製品説明を担う部署であるSBCUの板垣と小田島が解説していきたいと思います。

流れる走りを導き出す:STUMPJUMPER

板垣:数あるスペシャライズドのMTBラインナップの中でも、クロスカントリーからダウンヒルのど真ん中、「トレイルライド」というカテゴリーをカバーするのがStumpjumper。トレイルライドと一言に言ってもそのスタイルは実に多様。そのため、StumpjumperとStumpjumper EVO(スタンプジャンパー エヴォ)という2つのモデルで、幅広いライダーのニーズに応えます。

Stumpjumperについて>

小田島:まずStumpjumperから見てきましょう。「Singletrack Flow Finder(流れる走りを導きだす)」というタグラインにもあるように、シングルトラックを、どこまでも流れるように走り続けたいライダーのためのバイク。軽量で上りが楽しく、下りの走破性にも優れています。

板垣:「トレイルライドは上りも楽しい」と、よく小田島さん言っていますもんね。

小田島:そうなんです!森の中に入ったらそこはすべて遊び場。上りだって単なる下りへのアプローチではなく、バランスを取ったり、ラインを読んだり、本当に楽しい。
楽しい上りのために、軽量化は避けて通れません。Aethos(エートス)の開発にも関わったピーター・デンクが新型Stumpjumperの開発チームに入ることで、Aethosと同様に効率的な形状にとことんこだわり、補強のための無駄なカーボンレイヤーを一切排除して剛性を保つ手法が取り入れられています。無駄をそぎ落としたフレーム設計とその軽量化の邪魔をしないパーツアッセンブルにより、完成車重量はS-Worksで12.2キロです。

板垣:一見、前作と似ているサイドアームデザインの裏側には血のにじむようなエンジニアたちの努力が隠されています。フロントトライアングルだけでも50種類ものテストフレームを作ることになった、という開発の苦労話もあるぐらい、緻密にデザインされ進化しています。

小田島:特にトップチューブからサイドアームにかけての内部構造や製造方法に進化があるそうですが、一見分からない・・・。しかし、乗ってみれば、軽さとレスポンスの良さや安定したハンドリングでその違い感じていただけると思います。実際乗ってみた感想は動画の中でも語っていますのでぜひご視聴ください。

板垣:前作との大きな違いは、27.5インチモデルの廃止ですね。これは29インチバイクの進化、とも言いかえることができます。また、サスペンションのトラベル量もやや抑えて、Stumpjumper EVOとの住みわけがより明確になりました。フロント140mm、リア130mmなのですが、このトラベル量の場合、スペシャライズドのカーボン技術を駆使すればFSRつまりホルストリンクを廃止できることも分かりました。

小田島:29インチの走破性の恩恵にあやかりながら、スタンドオーバーハイトは前作の27.5インチモデルのXSサイズよりも、新しいS1サイズ*の方が1p低いんです。私のような小柄ライダーにとっては有難い。

ホルストリンクについては、今までチェーンステーにあったピボットを廃止することで55gの軽量化と、横方向の剛性アップを実現し、よりペダリング効率が良くなりました。上りの重心の起きやすさと軽快さは、実際に乗ってみて本当にテンション上がりました!
*S-サイジングによる、最も小さいサイズ。

板垣:それでいて下りの性能も損なわないよう、シートステーが「フレックスゾーン」と呼ばれていて、FSRの動きをカーボンのしなりで可能にしました。

小田島:下りの走破性については、Stumpjumperという名を語るからには譲れないものがあるという気合を感じます。前作よりもトラベル量を減らし、ホルストリンクを廃止しても、パフォーマンスは犠牲にしません。そのため、フレームのリンク設計はもちろんのこと、それに組み合わせるショック自体のチューニング、つまりスプリングやダンパーの特性を緻密に計算しています。結果、ショックのストローク全域を効率的に使えるので、こんな走りになっちゃうんです!

いかなるトレイルも手なずける:STUMPJUMPER EVO

板垣:さて、次はStumpjumper EVOについて見ていきましょう。こちらのバイクはトレイルライドの中でもより下りの走破性にフォーカスを当てたものです。激しいトレイルをもう一歩進んだ次元で走りたい、そんなライダーのニーズに応えます。それでいて、上りも体力を温存しながらスイスイ上れます。私はどちらかというと、このライディングスタイルですね。

Stumojumpert EVOについて>

小田島:フロント160o、リア150o(S1サイズは150/145mm)にストローク量が増えたこともありますが、何と言っても特筆すべきは6種類から選べるワガママなジオメトリーでしょう!トップチューブのアッパー側にあるヘッドセットカップを交換すれば3種類、さらにホルストリンクのチップの向きを変えることで2種類、つまり組み合わせで6種類のヘッドチューブ角度とBB高から好みのものをチョイスできます。

板垣:実際にジオメトリーを変えて乗り比べてみましたが、ヘッドチューブ角度をSlack(寝かせた状態)からSteep(立てた状態)に変更すると、走りが劇的に変化しました。Slackだと緩やかなコーナーを高速で安定して走れる感じですが、Steepにすると細かいコーナーやスイッチバックもテンポよく滑らかに走れました。ヘッドチューブ角度とBB高を別々に変更できるのは、バイクをより自分好みにセットアップできることを意味します。自分のスタイルやトレイルに合わせてバイクの乗り味を変幻自在に変えることができるのは、トレイルライドにさらなる楽しさを与えてくれるでしょう。

小田島:私も乗ってみましたが、とにかく安定性が半端ないです。誤ってあり得ないラインに入ってしまったんですが、何事もなかったかのように通過してくれて。仕事と子育てのある今のライフスタイルには「安全なバイク」というのはポイント高い。

板垣:さらに、リンクを交換することでリアホイールを27.5インチにして前後異径のマレット仕様にもできます。これ一台でかなり幅広い乗り方を楽しめるのではないでしょうか。

小田島:リンク設計についてもStumpjumper EVOに特化して工夫が凝らされていますよね。

板垣:キネマティクスとも呼ばれるリンク設計ですが、よりプログレッシブな設計で初動が良く、終盤ではしっかり粘ってくれるので、サスペンションにストローク全体で良い動きをさせることができます。リア方向へふったアクスル軌道と共に、Enduro(エンデューロ)での経験が活かされた設計ですね。また、アンチライズも適切にコントロールされており、ブレーキング時もサスペンションがアクティブな状態で居てくれる。そして、ペダリング効率を最大限に引き出すアンチスクワットもサグ付近では高く設定されています。

小田島:なんだか専門的ですが、とにかく登れるのにガンガン下れる良い感じの設計ってことですね。

板垣:そうですね(笑)。この考え抜かれたリンク設計と、スペシャライズド独自のRxTune(アールエックス・チューン)というサスペンションを搭載するバイク毎にカスタマイズするプログラムが相まって、「究極のトレイルバイク」となっているんです。

小田島:そして、とても便利なのが、ダウンチューブへの収納機能であるSWAT™(スワット)。Stumpjumper EVOでは15%も容量が増えました。その収納力については、動画で見ていましょう!

小田島:こんなにバイクが進化した現代にマウンテンバイカーで居られることが幸せ。Stumpjumper EVOの動画にもあったように、まさに「マウンテンバイクの黄金時代へようこそ。」ですね。さあ。なにはともあれ、乗りに行きましょう!あなたはどちらのバイクでトレイルライディングしたいですか?

 

 

【SBCU先生紹介】
板垣 響(いたがき ひびき):
アメリカの大学でアウトドアを専攻した外遊びの達人。スペシャライズドジャパンのSBCUをリードする若きホープ。愛車はEnduroとFuse。

小田島 梨絵(おだじま りえ):
2008年、2012年と2度のオリンピックをスペシャライズドのMTBで戦った元プロライダー。現在は子育てとサイクリストの両立を楽しむ。愛車はTurbo Levo SL。

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