2019.04.11

究極のバイク新型Roubaix(ルーべ) 開発者 John Cordoba(ジョン・コルドバ)さんにインタビュー

まったく新しいレーシングバイクとして生まれ変わったRoubaix。開発責任者であるジョン・コルドバさんに新型Roubaixについてインタビューを行いました。

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―はじめまして、ジョンさん。まずは自己紹介をお願いします。
はじめまして。今回新しいRoubaixの開発を担当したジョン・コルドバです。もともとはGrailグローブの開発からスペシャライズドでの経歴をスタートしました。その後Stump Jumperの前モデルの開発を経て、現在のDivergeの開発からプロダクトマネージャーとして携わっています。スペシャライズド歴は今年で9年目だね。

―今回満を持して発表された新型Roubaixですが、他のレースで使われるTarmac Discとどのような違いがあるのでしょうか? 

今回の新型Roubaixの開発ではプロライダーがレースで使用することを主眼に開発をしたんだ。プロライダーがレースでメリットを感じられるバイクはホビーライダーにも同等に大きな恩恵があるからね。新型Roubaixの大きな特徴は2つあって、今回新しく開発したFuture Shock2.0がひとつ。油圧ダンパーの採用によりショックの動きを安定させ、ストロークをコントールできるようにしているんだ。油圧ダンパーがあるため、コンプレッションを走行中でも簡単に調整することができるようになっているよ。

タイヤが地面に接地する時間のことをトラクションって言っているのだけど、サスペンションがないバイクと比較して、5.8%トラクションが向上しているんだ。これはFuture Shockが車軸とライダーの間にあるため、タイヤが地面に接地する時間が増えるということ。つまりは、どんなライダーにとってもメリットになる安定性が増して、快適に速く走れるようになるんだよ。まさに『Smoother is faster』(スムースさ=速さ)なんだ。

 

―日本には石畳のように凹凸があって荒れている路面はあまりないのですが、トラクションの向上によってどんなメリットがあるのでしょうか?
確かに日本で石畳のような荒れた道に出くわすことは少ないかもしれませんが、トラクションが必要ないというわけではないんだ。トラクションの向上は、下りでのバイクの安定性アップに貢献するし、安定したバイクで自信を持って下れるということは「速さ」 と「安心」につながるんです。みんな新型Roubaixを試乗する際には、Future Shockの恩恵はもちろん、トラクションの向上による下りでの安定性、速さをぜひ体感してほしいね。

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―Future Shock2.0はどのグレードに搭載されますか?
Future Shock2.0はExpert以上のグレードに、Future Shock1.5というダンパーがないバージョンはComp以下のモデルに搭載されます。Future Shock1.5はプログレッシブスプリングにより前モデルに比べて、より洗練された乗り心地になっています。

―新型Roubaixはステム周りがすっきりしてますね。
コックピット周りは新しいショックブーツ、ステム、アップデートされたヘッドセットカバーによりすっきりとかっこよくなっています。ヘッドセットはあまり変わっていませんが、ベアリングのプリロードセッティングのアップデートにより、長期間の使用におけるベアリングの寿命と信頼性が向上しました。

―もう一つの大きな違いはなんでしょうか?
すべてのグレードに搭載される新しいPavé(パヴェ)シートポストもTarmacとの大きな違いのひとつ。十分なリアの衝撃吸収がないと前後バランスが崩れ、Future Shock付きのバイク全体のバランスが崩れてしまうんだ。この新しいPavéシートポストは、Tarmacに搭載されているD型シートポストと同じ形状なんだけど、高い快適性だけでなく、優れたエアロ性能も発揮する。シートポスト上部をTarmacのシートポストよりもしなるよう設計し、クランプ位置(クランプは65oフレームの中)を下げてシートポストのしなり量を向上させるドロップクランプデザインを新たに開発したことにより、リアエンドの乗り心地をさらに高めることに成功したんだ。フロントとリアのバランスは最高の状態に保たれているので、路面がどんなに荒れていようとスムーズに走れるよ。

重量に関しては、新しいPavéシートポストを使ったシステムは80gも軽く、エアロでありながら前のモデルについてきたC-GRシートポストと同じ衝撃吸収性能を持っているよ。完成車に搭載されるPavéシートポストのオフセットは20oで、今後0oオフセットのPavéシートポストも発売される予定だ。(発売時期未定)

―Pavéシートポストは優れたエアロ性能も発揮するとの話が出ましたが、今回の新型Roubaixはエアロダイナミクス的にはいかがでしょうか?
自社風洞施設Win Tunnelを自社内に建設して、エアロダイナミクスをすべての商品開発に活かしているのはよく知られた事実だよね。エアロダイナミクスはスペシャライズドのDNAになっているといっても過言ではない。今回の新型Roubaixの開発において、クリス・ユーの先進技術チームと旧型のRoubaixから改善可能な部分を特定したんだけど、Future Shockには問題はなくて、ただ旧型がエアロな設計でないだけだったんだ。

現行Vengeを開発した時に使用したソフトウェア『Free Foil Shape Library』から選んだチューブ形状で作られたRoubaixが、Tarmac SL6よりもエアロ性能が高いことが判明した時は驚いたよ。Roubaixの前モデルと比較したら0度のヨーアングルで40km走行時に14秒も速いことがわかったんだ。もちろん、Rider-First Engineered™デザインを利用して、すべてのフレームサイズにおいて変わらない剛性感と乗り心地を実現しているよ。


*グラフ内のすべてのバイクは、それぞれ独自のフレーム、フォーク、シートポスト、コックピットでテストを実施。ホイール、コンポーネント、ポジションは、すべてのバイクで共通。

―新型Roubaixの重量はどのくらいなのでしょうか?
重量という点ではフレーム重量はサイズ56cm、ブラックカラーの塗装で900グラムを切っているよ。新しい油圧ダンパーで重量が増えた分以上に、他の箇所で軽量化を図り、全体では前モデルに比べて50gの軽量化を達成したんだ。つまり、新型Roubaixのフレームは、エアロ性能、軽量性、乗り心地を完璧なバランスで実現していると言えるね。スペシャライズドのテクノロジーがすべて入ったフラッグシップモデルなんだ。

―新型Roubaixのジオメトリーについて教えてください。
ルーベの安定性は、Roubaix独自のジオメトリーを採用することでより向上しているんだ。TarmacとVengeも安定性という観点ではBBを下げたいのですが、クリテリウムのレースでコーナリングしながらペダリングをすることを考えてBBを下げられないというのが本当のところです。新型RoubaixとTarmacの56サイズで比較してみると、安定感に関わるホイールベースやチェーンステー長はそれぞれ5o長く、そしてBB下がりは4o下に設定することで、 安定した走りを実現しているんだ。フィットに関わるリーチはTarmacよりも11o短く、スタックは40o長くなっているよ。

―新型Roubaixのサイズ展開は、すべて44サイズからですね。男女共用ということでしょうか?(日本ではS−Works Roubaix Sagan Collectionは49サイズからの展開)
新型Roubaixは男女共通のジオメトリーを採用しているよ。 Retülからのフィッティングデータと、これまでの研究により男女の身体差よりも同じ性別内での身体差の方が大きいことがわかったんだ。その研究結果を受けて、性別を根拠に独自のモデルを作るほどの統計上のデータの違いがないから、性別を分けてバイクを展開しないことを決めたんだ。男女気にせず好きなカラーを選べるようになったのもいいことだよね。

Beyond Genderについてより詳しく>

―プロがパリ〜ルーベで使用する新型Roubaixも同じジオメトリーなんでしょうか?
以前からプロライダーのアグレッシブなライドフォームに合わせて、リーチが長くスタックが短くなったRoubaixのフレームをプロライダーは使用しています。プロライダーが慣れ親しんだTarmacやVengeと同じジオメトリーにしているんだ。多くのホビーライダーは通常モデルのジオメトリーのほうがコラムスペーサーが少なくすみ、メリットがある場合がほとんどなんだけど、プロライダーと同じフレームが欲しいという声も沢山聞いていたから、今回はプロ用のジオメトリーのモデルも発売する予定だよ。(2019年秋ごろ発売予定)

具体的にはS-Works Teamフレームを3サイズ(53、57、59)展開する予定で、それぞれTarmacの54、56、58+とほぼ同じスタックとリーチとなっているよ。 通常ラインのサイズと同じハンドリング性能・乗り味、剛性で、スタックとリーチのみの違いなんだ。Retül Fitでサイズを調べてどちらが良いかを選ぶのが間違いないよ!(日本では53,57サイズのみの展開)

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Photo ©Just_Sullivan

 

―開発において、スペシャライズドがサポートする各チームからの協力を受けたとお聞きしました。どんなプロライダーが協力してくれましたか?
製品開発を紹介する動画には、ティム・デクレルク、イヴ・ランパールト、そしてゼネク・スティバルが登場してくれたね。その中でも一番協力してくれたのはスティバル。スペシャライズドがどの選手の意見を聞きたいと指名するのではなく、ここを改良してくれとか言ってくれる選手をメインにすることが多いよ。

―すでにFuture Shock2.0は去年のレースで使用されていたとのことですが、優勝したペテル・サガンの感想を教えてください!
レース後に『手がしびれなかった』と嬉しいコメントをもらったよ。過酷な石畳を走るのはガッツが必要なのはもちろんなんだけど、Future Shock2.0が彼の勝利を支えたのは間違いないね。

―今年もサガンモデルのRoubaixは発表されますか?
もちろん、今あるSagan Collection Drop3に、S-Works Roubaix Sagan Collectionが追加されるよ!彼はUnderexposedカラーで美しい塗装の新型Roubaixでパリ~ルーベを走る予定だよ。

Sagan Collection Drop3についてについて>


S-WORKS ROUBAIX SAGAN COLLECTION

 

―プロライダーにはプロトタイプごとに何回もテストしてもらうのでしょうか?
その通り。新型Roubaixの開発にあたり、4回ヨーロッパに行って選手に実走テストしてもらったよ。プロライダーの声をしっかりと開発に取り入れ新型Roubaixが完成したんだ。

 

―ドゥクーニンク・クイックステップ、そしてボーラ・ハンスグローエ、両チームともに今年はディスクブレーキですべてのレースを戦うことを表明していますが、パリ〜ルーベもスペシャライズドのサポートする選手がDiscブレーキ搭載の新型ルーベで戦いますか?
各チームのスクワッド(参戦選手)はすべて新型Roubaix でレースに出る予定だよ。もちろんスペアバイク含めてすべてDiscブレーキ搭載の新型ルーベを用意する予定だ。プロライダーはコンサバな選手が多くて、以前はパンク時のサポートに不安を覚える選手もいたんだけど、最近はプロトンでもDiscが主流になってきたね。

―新型Roubaixはエアロ性能を大きく改善していますが、ジョンさんはどのような勝ち方を想定していますか?
さっき話したけど、新型RoubaixはTarmac SL6よりもエアロ性能に優れているし、Future Shock2.0をロックすればスプリントでも速いので、逃げ切りはもちろん、ベロドロームでのスプリントになるような展開でも勝てるはずだね。

パリ~ルーベでの6度の優勝『Paris Roubaix History』>

―パリ〜ルーベでスペシャライズドの選手はどのホイールをメインに使用されますか?
S-Works Roubaixの完成車に搭載されているRoval Wheel CLX50で全員出走する予定だよ!エアロ性能と重量のバランスが最高だからね。
「THE ROVAL CLXPERIENCE」今話題のROVALホイールを体験できるショップはこちら>

―今年は新型ルーベでの7回目の勝利は誰が手にすると予想していますか?
新型Roubaixの開発に最も携わったスティバルだね。彼は普段The Wolf Packのメンバーとしてアシストに回ることも多いけど、すでに今年2勝して絶好調のようだし、彼が勝つんじゃないかな。
縁の下の力持ち、アシスト特集-ディスクブレーキモデルで戦う2019シーズン開幕>

―選手とやり取りをする中で、印象に残るエピソードなどがあれば教えてください。
スティバルが最終テストの際、石畳をTarmacと新型Roubaixで乗り比べ、「この新型Roubaixで走ることにするよ」と握手を求めてきたことが心底うれしかったね!

―開発の過程で一番苦労した点があれば教えてください!
それはどの商品の開発においても言えることだけど、新しいアイディアをひねり出すこと。常にクリエイティブな発想が求められるね。

ー最後に新型Roubaixについて一言お願いします。
新型Roubaixはスペシャライズドの最新のテクノロジー、Future Shock、Rider-First Engineered™、Freefoil shape libraryが全部注ぎ込まれたバイクです。まさに究極のバイクとも言えるでしょう。もうただのコンフォートバイクやエンデュランスバイクではありません。新型RoubaixはVengeより軽く、そしてTarmacよりもエアロで速い。Future Shock2.0やPavéシートポストを採用し、高いコントロール性や安定性を持っています。是非体験してみてください。

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―ありがとうございました!

普段は8時半に寝て、5時に起きて筋トレをするジョンさん。日本ではマグロ丼や神戸牛を堪能し、わさびは苦手だったそうですが、本わさびはおいしかったと日本食に大満足。日本を経った後、パリ〜ルーベまで新型Roubaixのプレゼンテーションで各国を回ります。パリ〜ルーベは現地で観戦するとのことなので、新型Roubaixの初優勝を見届けられるかもしれませんね!


SBCUチームのメンバーと。右から二番目がジョンさん。

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