驚異の19歳、レムコ・エヴェネプール―Tarmac Discでプロ初勝利

2019/07/01

驚異の19歳、レムコ・エヴェネプール―Tarmac Discでプロ初勝利

ロードレースシーンにおいて強い輝きを放つ19歳、レムコ・エヴェネプール。今年から飛び級でエリートカテゴリーを走る「怪物」を特集します。

■2000年生まれのネオプロ
レムコ・エヴェネプール。今年からドゥクーニンク・クイックステップに加入したネオプロのベルギー人選手だ。
彼は先日閉幕したバロワ―ズ・ベルギー・ツアーでプロ初勝利、そして初のステージレース総合優勝を飾った。ベルギーチームに所属する若手ベルギー人選手が地元レースで総合優勝。それだけならちょっと良い話で終わるが、特筆すべきは彼の経歴だ。


バロワーズ・ベルギー・ツアー総合優勝。171cmと小柄な選手だが、走りはパワフルそのもの。© 2019 Getty Images

エヴェネプールは2000年生まれの19歳。去年まではジュニアカテゴリーで走っていた。2019年シーズンからドゥクーニンク・クイックステップに加入、U23を飛び越えてエリートカテゴリーに参入した。つまり年齢的にはU23の選手が、エリートのレースで優勝を飾ったのである。

■「ウルフパック」の末っ子、初勝利の軌跡
ベルギー・ツアー第2ステージ。春先に行われるクラシックレースを彷彿とさせる石畳や急坂を盛り込んだ5日間のステージレースの2日目で、エヴェネプールはプロ初勝利を飾った。
しかも独走勝利。集団から飛び出し、並み居るクラシックライダー達を並ばせることなく、そのままフィニッシュラインに飛び込んだ。


バロワーズ・ベルギー・ツアー第2ステージで独走勝利。ロンド・ファン・フラーンデレンに登場するミュール(急坂)が盛り込まれたクラシックコースをTarmac Discで駆け抜けた。© 2019 Getty Images

この勝利でエヴェネプールはリーダージャージを獲得。第3ステージの個人タイムトライアルでも危なげなくステージ4位に入賞し、総合首位を守って第4ステージへ臨むことになった。

この第4ステージで、ロット・スーダルがエヴェネプールからリーダージャージを奪うべく動いた。

まずアワーレコードを保持するタイムトライアルスペシャリストのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)が序盤から逃げを打った。総合3位につけていたカンペナールツはエヴェネプールとのタイム差を逆転、バーチャルで総合首位に立ってしまう。この危険なエスケープからウルフパックの末っ子を守るため、ドゥクーニンク・クイックステップはチーム総出の追走を開始する。


バロワーズ・ベルギー・ツアー第4ステージ、カンペナールツを追走するドゥクーニンク・クイックステップ。© 2019 Getty Images

必死の追走が実り、ドゥクーニンク・クイックステップは全ての手札を使い切りながらカンペナールツを射程圏内に捉えることに成功する。しかし、次いで前年覇者にして総合2位のティム・ウェレンス(ベルギー)が渾身のアタック。カンペナールツの追走で力を使い果たした先輩アシスト達の姿はなく、エヴェネプールは既に単騎。自らウェレンスを追わなければならない状況に追い込まれてしまった。

ネオプロのエヴェネプール1人に対してウェレンス、カンペナールツというトッププロ2人。数で勝るロット・スーダルの2人が協調して波状攻撃を仕掛けたことで、エヴェネプールは力尽き遅れてしまうのかと思われた。
しかし、エヴェネプールは慌てなかった。淡々とペースを刻み、ウェレンスに追い付くことに成功する。
その瞬間、今度はエヴェネプールの背後で息を潜めていたカンペナールツがアタックを仕掛けた。だが、このアタックに対してエヴェネプールがすかさず反応。反応するだけでなく、なんとそのまま加速。カンペナールツ、クローン(デンマーク/リュワル・レディーネス)を従えて集団を抜け出すエヴェネプールに対して、ウェレンスはここで遅れてしまう。若き狼が力でクラシックスペシャリストをねじ伏せた瞬間だった。

ほぼ一人でウェレンスを追走。そしてカンペナールツのアタックに反応、更に先頭でゴールを目指すエヴェネプール。最後のステージ勝利はカンペナールツに譲ったが、この日一番強かったのは間違いなく彼だった。

フィニッシュまで辿り着いた3人によるスプリント。先頭に出ることなく脚を貯め続けたカンペナールツが勝利し、エヴェネプールはクローンに次ぐ3位。しかし彼は見事にリーダージャージを守り切った。

最終第5ステージはスプリントステージ。ドゥクーニンク・クイックステップはエヴェネプールを守り切るために万全を期した。このレースにおけるエーススプリンターであるファビオ・ヤコブセン(オランダ)も自らのステージ勝利を捨て、集団牽引に参加。エヴェネプールをゴールまで送り届けた。


バロワーズ・ベルギー・ツアー、最終ステージとなる第5ステージのフィニッシュラインへ向かうエヴェネプール。直前に落車があったものの、笑顔がこぼれる。© 2019 Getty Images

プロ初勝利、そしてプロ初となるステージレース総合優勝。チームのアシストあっての勝利、そしてレースのカテゴリこそHCクラスではあるが、エリートカテゴリーで戦っていけることをエヴェネプールは自らの脚で証明したのである。

■挫折と栄光
エヴェネプールとはいかなる選手なのか。若くして自転車に打ち込んできたエリート選手?―いや違う。彼がロードバイクに乗り始めたのは僅か2年前、2017年4月。驚くべき浅いキャリアである。

エヴェネプールは長くサッカーに打ち込んできた。ベルギーは世界有数のサッカー大国で、FIFAランキング1位の強豪だ(2019年6月14日現在)。類稀な身体能力を持つエヴェネプールはU15・U16代表キャプテンを務めるトップレベルの選手だった。将来を嘱望された彼は、しかし苦い挫折を経験する。16歳で大怪我を負ってしまい、それが原因でサッカー選手としてのキャリアを諦めることになったのだ。

サッカーを離れたエヴェネプールは、元プロ選手の父の影響もあり、ロードレースの道に進んだ。そして持ち前のフィジカルで瞬く間に勝利を重ねていく。
キャリア2年目となる2018年はシーズン22勝。出場したステージレースは全て総合優勝。更にナショナル選手権、ヨーロッパ選手権、そして世界選手権の全てで個人タイムトライアルとロードレースを制覇と、ジュニアカテゴリーを完全に制圧した。


インスブルック世界選手権ロードレースで勝利。憧れのフィリップ・ジルベール(ベルギー/ドゥクーニンク・クイックステップ)が2017年ロンド・ファン・フラーンデレンで勝利した時と同じように、フィニッシュライン手前でバイクを降り、バイクを掲げながら歩いてゴールした。ちなみにジルベールのロンド勝利はエヴェネプールが自転車を始めた時期と重なっており、乗っていたバイクもジルベールと同じスペシャライズドのTarmac SL5。© Brakethorough Media

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一説によると、エヴェネプールは2019年からU23の選手のみで構成されるハーゲンズバーマン・アクセオンに所属する予定だった。しかし、複数のワールドツアーチームからのオファーがあり、最終的には地元ベルギーの名門ドゥクーニンク・クイックステップへ行くことを決めたという。


バイクを降りると素顔は19歳の若者。笑顔がまだあどけない。© Sigfrid Eggers
 

■圧巻の独走力
エヴェネプールの真骨頂はその独走力。タイムトライアルを得意とし、長時間高出力を維持することに長けている。単独でアタックを仕掛け、そのままフィニッシュまで独走というのが彼の勝利の定石でもある。そのスタイルは、エリートカテゴリーでも遺憾なく発揮されている。

ブエルタ・ア・サンフアンではエースのジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)を強力にアシストしながら新人賞を獲得。UAEツアーでの落車による離脱を経て、プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキーではクイーンステージの頂上フィニッシュ手前でアタック、あわやステージ勝利という積極的な走りを見せる。


プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキー第5ステージ。雨のクイーンステージで果敢にアタックするエヴェネプール。© 2019 Getty Images

そしてハンマーシリーズ・リンブルフではその独走力を遺憾なく発揮。初日クライムで序盤から積極的に前方で走り、終盤は独走態勢に。1人で1,000ポイントを超える大量得点により、チームの優勝に大きく貢献した。


ハンマークライムで独走。個人の勝利にはカウントされないが、2位以降を大きく引き離してフィニッシュした。ちなみにエヴェネプールはTarmac Discに乗っていることが多く、この日もTarmac Disc © 2019 Getty Images

レースでのエヴェネプールは19歳という年齢を意識させない。走りはもちろん、プロトンでの振る舞いもだ。他の選手達へ先頭交代を要求したり、もっとスピードを上げようとコミュニケーションを取る姿は堂々としており、とてもネオプロとは思えない。

 

そんなエヴェネプールが苦手にしているものが一つだけある。それは表彰台でのシャンパンファイト。ハンマーシリーズでは一人だけシャンパンを開けられず四苦八苦する姿が見られた。ネオプロらしい初々しさが感じられるのは、この時だけである。


右から2番目がエヴェネプール。一人だけシャンパンが開かない!© 2019 Getty Images

■若きエヴェネプールを支えるスペシャライズドバイク
エヴェネプールはその短いキャリアをスペシャライズドバイクと歩んでいる。2017年、2018年、そして2019年シーズンとTarmac、Venge、そしてShiv TTが彼の勝利を支えてきた。

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19歳という年齢を感じさせない走りのエヴェネプール。Tarmac Discを駆る姿はトッププロ選手のそれ。© 2019 Getty Images

ジュニア時代は最新モデルではないバイクに乗ることも多かったが、今年からドゥクーニンク・クイックステップに加入したため最新のスペシャライズドバイクを駆るエヴェネプール。


ディスクブレーキの扱いにも早々に慣れ、全く危なげない走りを見せている。高出力で走るスタイルの彼には、スルーアクスルの剛性で推進力をダイレクトに伝えるディスクブレーキモデルがうってつけだ。クラシックからステージレース、将来的にはグランツールとマルチな活躍が期待できるエヴェネプール。シーンによってバイクを使い分けながら、更に躍進していくに違いない。

先日開催されたベルギーナショナル選手権ではU23ではなくエリートカテゴリーで出場。個人タイムトライアルではワウト・ファンアールト(チーム・ユンボヴィスマ)、イヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)に次ぐ3位に入賞している。ロードでは序盤から逃げに乗り、先頭を長時間牽引しながらアタックを仕掛けるなどの動きにより、際立った存在感を示した。


強者揃いのエリートカテゴリーで堂々とした戦いを見せ、個人タイムトライアルでは表彰台。ナショナルチャンピオンジャージを着る日も近いのかもしれない。
© 2019 Getty Images

プロ半年にしてこの存在感。恐るべき19歳の進化に注目していきたい。

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■今回の記事で紹介した選手-プロ選手チップス
記事の中で紹介した選手達の特徴を、小ネタも入れてカード形式でお届けします。
レース観戦中など、この選手どんな選手だっけ?と思い出してもらえれば幸いです!

【筆者紹介】
池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。去年のインスブルック世界選手権で知ったエヴェネプール。まさかこんなに早く活躍するとは、驚きです。バイクを降りるとまだあどけない19歳。若手に活躍のチャンスがあるドゥクーニンク・クイックステップはよいチョイスだと思います。これからどんな選手になっていくのか、ロードレース界の未来の1人ですね!

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ロードレースシーンにおいて強い輝きを放つ19歳、レムコ・エヴェネプール。今年から飛び級でエリートカテゴリーを走る「怪物」を特集します。

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■2000年生まれのネオプロ
レムコ・エヴェネプール。今年からドゥクーニンク・クイックステップに加入したネオプロのベルギー人選手だ。
彼は先日閉幕したバロワ―ズ・ベルギー・ツアーでプロ初勝利、そして初のステージレース総合優勝を飾った。ベルギーチームに所属する若手ベルギー人選手が地元レースで総合優勝。それだけならちょっと良い話で終わるが、特筆すべきは彼の経歴だ。


バロワーズ・ベルギー・ツアー総合優勝。171cmと小柄な選手だが、走りはパワフルそのもの。© 2019 Getty Images

エヴェネプールは2000年生まれの19歳。去年まではジュニアカテゴリーで走っていた。2019年シーズンからドゥクーニンク・クイックステップに加入、U23を飛び越えてエリートカテゴリーに参入した。つまり年齢的にはU23の選手が、エリートのレースで優勝を飾ったのである。

■「ウルフパック」の末っ子、初勝利の軌跡
ベルギー・ツアー第2ステージ。春先に行われるクラシックレースを彷彿とさせる石畳や急坂を盛り込んだ5日間のステージレースの2日目で、エヴェネプールはプロ初勝利を飾った。
しかも独走勝利。集団から飛び出し、並み居るクラシックライダー達を並ばせることなく、そのままフィニッシュラインに飛び込んだ。


バロワーズ・ベルギー・ツアー第2ステージで独走勝利。ロンド・ファン・フラーンデレンに登場するミュール(急坂)が盛り込まれたクラシックコースをTarmac Discで駆け抜けた。© 2019 Getty Images

この勝利でエヴェネプールはリーダージャージを獲得。第3ステージの個人タイムトライアルでも危なげなくステージ4位に入賞し、総合首位を守って第4ステージへ臨むことになった。

この第4ステージで、ロット・スーダルがエヴェネプールからリーダージャージを奪うべく動いた。

まずアワーレコードを保持するタイムトライアルスペシャリストのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)が序盤から逃げを打った。総合3位につけていたカンペナールツはエヴェネプールとのタイム差を逆転、バーチャルで総合首位に立ってしまう。この危険なエスケープからウルフパックの末っ子を守るため、ドゥクーニンク・クイックステップはチーム総出の追走を開始する。


バロワーズ・ベルギー・ツアー第4ステージ、カンペナールツを追走するドゥクーニンク・クイックステップ。© 2019 Getty Images

必死の追走が実り、ドゥクーニンク・クイックステップは全ての手札を使い切りながらカンペナールツを射程圏内に捉えることに成功する。しかし、次いで前年覇者にして総合2位のティム・ウェレンス(ベルギー)が渾身のアタック。カンペナールツの追走で力を使い果たした先輩アシスト達の姿はなく、エヴェネプールは既に単騎。自らウェレンスを追わなければならない状況に追い込まれてしまった。

ネオプロのエヴェネプール1人に対してウェレンス、カンペナールツというトッププロ2人。数で勝るロット・スーダルの2人が協調して波状攻撃を仕掛けたことで、エヴェネプールは力尽き遅れてしまうのかと思われた。
しかし、エヴェネプールは慌てなかった。淡々とペースを刻み、ウェレンスに追い付くことに成功する。
その瞬間、今度はエヴェネプールの背後で息を潜めていたカンペナールツがアタックを仕掛けた。だが、このアタックに対してエヴェネプールがすかさず反応。反応するだけでなく、なんとそのまま加速。カンペナールツ、クローン(デンマーク/リュワル・レディーネス)を従えて集団を抜け出すエヴェネプールに対して、ウェレンスはここで遅れてしまう。若き狼が力でクラシックスペシャリストをねじ伏せた瞬間だった。

ほぼ一人でウェレンスを追走。そしてカンペナールツのアタックに反応、更に先頭でゴールを目指すエヴェネプール。最後のステージ勝利はカンペナールツに譲ったが、この日一番強かったのは間違いなく彼だった。

フィニッシュまで辿り着いた3人によるスプリント。先頭に出ることなく脚を貯め続けたカンペナールツが勝利し、エヴェネプールはクローンに次ぐ3位。しかし彼は見事にリーダージャージを守り切った。

最終第5ステージはスプリントステージ。ドゥクーニンク・クイックステップはエヴェネプールを守り切るために万全を期した。このレースにおけるエーススプリンターであるファビオ・ヤコブセン(オランダ)も自らのステージ勝利を捨て、集団牽引に参加。エヴェネプールをゴールまで送り届けた。


バロワーズ・ベルギー・ツアー、最終ステージとなる第5ステージのフィニッシュラインへ向かうエヴェネプール。直前に落車があったものの、笑顔がこぼれる。© 2019 Getty Images

プロ初勝利、そしてプロ初となるステージレース総合優勝。チームのアシストあっての勝利、そしてレースのカテゴリこそHCクラスではあるが、エリートカテゴリーで戦っていけることをエヴェネプールは自らの脚で証明したのである。

■挫折と栄光
エヴェネプールとはいかなる選手なのか。若くして自転車に打ち込んできたエリート選手?―いや違う。彼がロードバイクに乗り始めたのは僅か2年前、2017年4月。驚くべき浅いキャリアである。

エヴェネプールは長くサッカーに打ち込んできた。ベルギーは世界有数のサッカー大国で、FIFAランキング1位の強豪だ(2019年6月14日現在)。類稀な身体能力を持つエヴェネプールはU15・U16代表キャプテンを務めるトップレベルの選手だった。将来を嘱望された彼は、しかし苦い挫折を経験する。16歳で大怪我を負ってしまい、それが原因でサッカー選手としてのキャリアを諦めることになったのだ。

サッカーを離れたエヴェネプールは、元プロ選手の父の影響もあり、ロードレースの道に進んだ。そして持ち前のフィジカルで瞬く間に勝利を重ねていく。
キャリア2年目となる2018年はシーズン22勝。出場したステージレースは全て総合優勝。更にナショナル選手権、ヨーロッパ選手権、そして世界選手権の全てで個人タイムトライアルとロードレースを制覇と、ジュニアカテゴリーを完全に制圧した。


インスブルック世界選手権ロードレースで勝利。憧れのフィリップ・ジルベール(ベルギー/ドゥクーニンク・クイックステップ)が2017年ロンド・ファン・フラーンデレンで勝利した時と同じように、フィニッシュライン手前でバイクを降り、バイクを掲げながら歩いてゴールした。ちなみにジルベールのロンド勝利はエヴェネプールが自転車を始めた時期と重なっており、乗っていたバイクもジルベールと同じスペシャライズドのTarmac SL5。© Brakethorough Media

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バイクを降りると素顔は19歳の若者。笑顔がまだあどけない。© Sigfrid Eggers
 

■圧巻の独走力
エヴェネプールの真骨頂はその独走力。タイムトライアルを得意とし、長時間高出力を維持することに長けている。単独でアタックを仕掛け、そのままフィニッシュまで独走というのが彼の勝利の定石でもある。そのスタイルは、エリートカテゴリーでも遺憾なく発揮されている。

ブエルタ・ア・サンフアンではエースのジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)を強力にアシストしながら新人賞を獲得。UAEツアーでの落車による離脱を経て、プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキーではクイーンステージの頂上フィニッシュ手前でアタック、あわやステージ勝利という積極的な走りを見せる。


プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキー第5ステージ。雨のクイーンステージで果敢にアタックするエヴェネプール。© 2019 Getty Images

そしてハンマーシリーズ・リンブルフではその独走力を遺憾なく発揮。初日クライムで序盤から積極的に前方で走り、終盤は独走態勢に。1人で1,000ポイントを超える大量得点により、チームの優勝に大きく貢献した。


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右から2番目がエヴェネプール。一人だけシャンパンが開かない!© 2019 Getty Images

■若きエヴェネプールを支えるスペシャライズドバイク
エヴェネプールはその短いキャリアをスペシャライズドバイクと歩んでいる。2017年、2018年、そして2019年シーズンとTarmac、Venge、そしてShiv TTが彼の勝利を支えてきた。

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19歳という年齢を感じさせない走りのエヴェネプール。Tarmac Discを駆る姿はトッププロ選手のそれ。© 2019 Getty Images

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ディスクブレーキの扱いにも早々に慣れ、全く危なげない走りを見せている。高出力で走るスタイルの彼には、スルーアクスルの剛性で推進力をダイレクトに伝えるディスクブレーキモデルがうってつけだ。クラシックからステージレース、将来的にはグランツールとマルチな活躍が期待できるエヴェネプール。シーンによってバイクを使い分けながら、更に躍進していくに違いない。

先日開催されたベルギーナショナル選手権ではU23ではなくエリートカテゴリーで出場。個人タイムトライアルではワウト・ファンアールト(チーム・ユンボヴィスマ)、イヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)に次ぐ3位に入賞している。ロードでは序盤から逃げに乗り、先頭を長時間牽引しながらアタックを仕掛けるなどの動きにより、際立った存在感を示した。


強者揃いのエリートカテゴリーで堂々とした戦いを見せ、個人タイムトライアルでは表彰台。ナショナルチャンピオンジャージを着る日も近いのかもしれない。
© 2019 Getty Images

プロ半年にしてこの存在感。恐るべき19歳の進化に注目していきたい。

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■今回の記事で紹介した選手-プロ選手チップス
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【筆者紹介】
池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。去年のインスブルック世界選手権で知ったエヴェネプール。まさかこんなに早く活躍するとは、驚きです。バイクを降りるとまだあどけない19歳。若手に活躍のチャンスがあるドゥクーニンク・クイックステップはよいチョイスだと思います。これからどんな選手になっていくのか、ロードレース界の未来の1人ですね!

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