2015.12.16

BOOMSLANG PLATFORM PEDALS、その性能は『ヘビ』を冠する名前の通り

スポーツバイクには、ビンディングペダルを使わなくてはいけないという常識を、このフラットペダル専用シューズとフラットペダルの組み合わせは、クツがえしてくれる。

「2FO Flat MTB シューズ」と「Boomslang Platform Pedals」の組み合わせ。先に愛しのシューズのことについてはこちらでじっくり述べたので、ここではペダルのこと、そしてシューズとの組み合わせについて、お伝えしたい。

スペシャライズドのフラットペダルは、その名前を「Boomslang Platform Pedals」という。この名前「Boomslang=ブームスラング」とは、どうやらヘビの名前である。聞いたこともないのでネットで調べてみると、毒蛇だ。かなり強い毒を持つらしい。まあ毒性はどうでもいいのだが、気になるのは次の一文:

「獲物に対して何度も噛みついて、仕留めた後に捕食する。」

- ブームスラング in Wikipedia. retrived December 14th 2015 from https://ja.wikipedia.org/wiki/ブームスラング

何度も噛むというのがこのヘビの特性らしく、そしてその名を冠すこのペダルの性質もよく表している。このブームスラング・ペダル、とにかくよく噛むのである、シューズの裏にだ。

その噛みっぷりを最大限に感じたいなら、純正ペダル「2FO Flat Shoes」と使ってみるといい。この組み合わせは、まるでビンディングのようだ。一旦ペダルに足をおけば、ガチッと噛み合う。ペダルのどこに足を置いても、足がずれずに安定したホールド感。これが例えば山の中、トレイルライドで本当にありがたい。2FOシューズのしっかりしたソールも相まって、とっさに出した足をまたペダルに乗せれば、そのまま安定して下れる。いちいち足を踏み替える暇のない急な下り坂では、とても頼もしい使い勝手である。

とっさでない状況であれば、2FOシューズとブームスラング・ペダルとの相性は、純正同士であるから最高だ。ペダリングしやすいのは、ペダルの軸が足の親指の付け根、いわゆる『母子球』の下にあるとき、とよく言われる。純正なだけに、ペダルとシューズとの形が、その理想の場所で合うようにカットされているのだろう、噛み合わせが一番しっくりくる場所にシューズを置くと、これもビンディングペダルのようによく噛み合う。

長距離を走るツーリングやMTBエンデューロなど、上りでは引き足を使ったペダリングが出来るぐらいだ。

一方で、このガチリとした最強の噛み合わせが邪魔になるときもある。ダートジャンプやストリートなど、状況に合わせて足を微妙に踏み替えたくなるライディングのときだ。

常に真剣なダートジャンプの着地などで、ちょっと気持ちと違った場所に足を置いてしまったとき、場所の微調整がやりにくい。そこでジャンプのときにはスケートボード系のフラットなスニーカーを履いて試してみる。すると確かなグリップ感の中にも、ちょいと荷重を減らせば足をズラせる自由度があって使いよい。やわらかめのソールであれば、踏んだときにはがっちり、力を抜いたときにはずりずりと。

「噛ませる」と「ずらす」の感覚の違いを、履くシューズで使い分けるのが、このペダルの良い使い方だと思う。山を走るときにはソール硬めの純正2FO フラットシューズで。そうでないときには、いつものスニーカー系で。そう考えると、スペシャライズドのMTB開発チームが、そういった割り切った使い勝手をこれら純正ペアに与えているという仮説は、とても腑に落ちる。感覚的な話で恐縮だが、ペダルとシューズの使い勝手はつまりは足裏感覚だ。スポーツの基本は足裏感覚を大切にすることだと、これまでの取材や研究などから信じている。

なお、細かくこのペダルを見ていくと、予備のピンが最初からペダルに組み込んであったり、ベアリング調整がしやすいように工夫されていたりするのだが、その辺のメカニカルなことは、僕はメカ好きではなくライド好きなのでよくわからない。また、このペダルの薄さもなんか大変調子良いのだろうと考えはするのだが、すまぬ、その辺もよくわからない。

ただわかるのは、このBoomslangが名前通りによく噛むこと、そしてその噛み具合が大変調子良いことぐらいである。自分が持っている数台のMTBにつけて使ってみて、結局今は、本気の山走り、特に雨や泥のときに、この純正ペアを使うというところに落ち着いている。

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【筆者紹介】:中村浩一郎
4半世紀にわたるMTBライディングにより、フラットペダルを数限りなく踏み外し、言葉通り脛にたくさん傷持つ男。だからヒザガードとスネガードはMTBに乗るときの基本だ。短パン履いて乗って怪我をしてる場合(歳)ではない。このドジっぷりは死ぬまで治らないのかと思うと切ない。

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