ロードレース観戦基本のキ @ロードレースって、一体何をしているの?

2020/03/11

ロードレース観戦基本のキ @ロードレースって、一体何をしているの?

「よくわからない」と言われがちなロードレース、今年は観戦してみませんか?見どころやポイントを全3回に分けて解説します。

ロードレース。ロードバイクに乗り、定められたコースを走り着順を競う競技である。
近代五輪最初の大会であった1896年アテネ五輪から続いている競技はたった5つだが、そのうちの1つが自転車競技だ(ちなみに第1回大会では個人ロードレースとトラックレースが開催された)。
そんな歴史あるロードレースだが、日本での観戦人口は他のスポーツと比べると控えめ。ロードバイクには乗るけど観戦は…という方も多い様子。ルールがよくわからない、どうやって観ればいいのか、そして何が面白いのかわからない、という声も聞く。
そこで、ロードレース観戦に馴染みのない方に向けて、基本的な情報や知っていると面白さ倍増のポイントを紹介していきたい。と言っても難しい話はなし。スペシャライズドのバイクでライドをするように、楽しく気軽に読んでいただければ幸いである。

基本はチームスポーツ
レースによっては200人近い人数が参加するロードレース。彼らは、たった1人の勝者を決めるために戦っている。
そう書くと個人競技のようだが、ロードレースはチームスポーツだ。4〜8人のチームで勝敗を競う。チームは勝利を狙う「エース」と、そのエースを支える「アシスト」で構成されている。


1人のエース(この写真では黄色いジャージを着た選手)を勝たせるためにアシスト達は全力を尽くす。 Photo:© 2020 Getty Images

エースの勝利はチームの勝利。この「1人を勝たせるためのその他大勢」という図式がロードレースの特徴である。これが「どの選手が何をやっているか謎」というわかりにくさの原因でもあるのだが、役割分担だと割り切ろう。サッカーやラグビー、アメリカンフットボールにおけるポジションのようなものだと思ってもらえればよい。


ロードレースでは何よりもチームワークが大事。トレーニングキャンプでゲームなどを通じたチームビルディングに取り組むことも。Photo:©Velo Images

チームに勝利をもたらす「エース」

勝ち星を上げるエースはレースの華だ。それぞれが得意とするコースレイアウトを持つ。厳しい登りが得意なクライマーは山岳を飛ぶように駆け上がり、瞬発力に優れたスプリンターは時速80qを超えるスピードでフィニッシュラインを争う。春先に多く開催される石畳や急坂が登場する過酷なワンデーレースを専門とするクラシックスペシャリストなどもおり、レースによりエースを務める選手は異なるが、その数は各チーム数人とそう多くはない(エース級のスター選手を大勢抱える強豪チームも存在するが…)。
彼らを覚えておくとロードレース観戦がより楽しくなる。スペシャライズドライダーから2人のエースを紹介しよう。

1人目はジュリアン・アラフィリップ(フランス/ ドゥクーニンク・クイックステップ) だ。昨シーズンは12勝(ちなみに最上位カテゴリチームに所属する選手の中で5位)、特に世界で最も有名なレースである「ツール・ド・フランス」では快進撃を見せ、暫定首位の選手にのみ着用が許される「マイヨ・ジョーヌ(黄色いジャージの意)」を全21日間中14日間着用した。
爆発力のある走りが持ち味で、あらゆるコースレイアウトで活躍するオールラウンダーと呼ばれるタイプの選手である。彼が得意とする急坂では、軽量のオールラウンドバイクS-Works Tarmac Discを選ぶことが多い。


春の嵐、止まらないアラフィリップの快進撃-Tarmac、そしてVenge、スペシャライズドと走った軌跡を振り返る>
TarmacDiscについて詳しく>
オンラインストアでTarmacをチェック>
 


登り、下り、そしてスプリントもこなす万能型ライダーのアラフィリップ。Photo:© 2019 Getty Images


年間最優秀自転車選手に与えられるヴェロドールを受賞。私服姿はまるで映画俳優のような端正さ。Photo: ©Alexis Réau/L’Équipe

2人目はペテル・サガン(スロバキア/ ボーラ・ハンスグローエ)。独特の存在感からロードレース界の人気者で、「スーパースター」という言葉がこれ程似合う選手は他にいない。2015年から3年間世界王者の座に君臨、屈指の勝負強さを誇る実力派だ。
サガンもアラフィリップと同じく幅広いコースレイアウトに対応する選手だが、「ツール・ド・フランス」における最強スプリンターの証「マイヨ・ヴェール(緑色のジャージの意)」を史上最多となる7度獲得するなど、 特にスプリントに強い。エアロ性能に優れたS-Works Vengeがお気に入りだそう。

Vengeについて詳しく>
オンラインストアでVengeをチェック>
二兎を追う者が二兎を得る―Tarmac Disc、Venge、Shiv TT Discで駆け抜けたツール・ド・フランス2019A(サガン7回目のマイヨ・ヴェール獲得)>
Vengeが最も優れたエアロロードバイクとして認定!サイクルスポーツ『エアロロード大研究2019』はこちらから>
 


位置取り、タイミング、ライバルとの駆け引きなど複数の要素が絡み合うスプリントで強さを誇るサガン。Photo:©Cycling image


お茶目でサービス精神旺盛なサガン。観客にウィリーでご挨拶。Photo:©Bettiniphoto
 

実は陰の主役「アシスト」

エースの影に隠れがちだが、アシストの動きに注目するとレース観戦がぐっと面白くなる。アシストの働きぶりでレースの展開が変わってくるからだ。
アシストの仕事は、一言で言うと「いかにエースを温存したまま勝負所へ届けるか」である。そしてレースにおける勝負所は終盤に設定されていることが多い。従って、大体レース序盤〜中盤までがアシスト達の仕事の時間だ。彼らの働きぶりをいくつか紹介しよう。

アシストの働き(1)ペースを作る

アシスト達はエースの前に集結し、エースを守るように走る。エースが走りやすい、かつライバルチームが攻撃を仕掛けにくい速度でペースを刻み、余計な動きを封じ込める。先行する集団がいれば追い付くための速度も計算しながら、危険なポイントではトラブルを回避するための位置取りを行いつつ走る。


エースを守りながら同じチームの選手達が一列に並んで走る様を列車に例えて「トレイン」と呼ぶ。Photo:©Bettiniphoto

実はこれがロードレースにおける「同じジャージを着た人達が並んで走っているけど、何も起こっていないように見える時間」の正体である。何も起こっていないのはアシスト達が優秀だからとも言える。あなたがあくびを噛み殺す瞬間、彼らは絶賛お仕事中であることを少しだけ思い出してあげてほしい。

アシストの働き(2)風除けになる

ロードバイクに乗る人はよく知っていると思う。ロードバイクとは空気抵抗との戦いであることを。
向かい風や横風が吹けば、あっと言う間に体力を奪われてしまう。そんな時は大柄で馬力のあるアシストの出番だ。風除けとして、自らの身体でエースを守る。


同じチームの選手達が一列に並んで走る様を列車に例えて「トレイン」と呼ぶ。先頭を牽いているのはドゥクーニンク・クイックステップのティム・デクレルク(ベルギー)。
190pの長身でパワフルに走る姿からニックネームは“El Tractor”(トラクターの意)。Photo:©Gettyimage

 

アシストの働き(3)補給を届ける

ロードレースの競技時間は長い。レースによっては7時間近くになることもある。長時間ペダルを回し続けるために、レース中の補給は必須。水分とカロリーを、ドリンクと補給食から摂取している。


一日のレースで摂取するカロリーは6,000〜8,000kcalに達するという。補給も立派な仕事だ。Photo:©Gettyimage

大量の補給をロードバイクに載せて走るわけにはいかないので、大抵の場合チームカー(監督やメカニックが乗ったサポートカー)にまとめて積んである。必要なタイミングでアシストがチームカーに取りに行き、それをエースはじめチームメイトに配るのである。


補給が入ったサコッシュ(小さく軽いショルダータイプのバッグ)をレース中に受け渡す選手達。Photo:©Bettiniphoto

チームカーは選手達の後方を走っていることが多いので、一旦そこまで下がってから全員分の補給を持って再びチームメイト達に追い付く必要がある。これが結構大変なのだ。想像してみてほしい。500mlボトル1本が約500gとして、4本あれば2sになる。重りを持ってインターバルトレーニングをするようなもので、かなり体力を消耗する。


真夏のレースではボトルは文字通り「命の水」。ただし大量に運ぶのは大変。Photo:©Gettyimage

補給がなければエースがハンガーノック(燃料切れ)になってしまうので、アシスト達はせっせと補給を取りに行き、配る。しかもタイミングを間違えるとライバルチームが攻撃を仕掛けてきて置き去りにされる、なんてこともあるので一瞬たりとも気が抜けないのである。

アシストの働き(4)いざという時は自ら勝つ

万全の体制を敷いていても予想外は起きる。エースも人の子、調子が悪い日もある。
そんな時はアシストがエースに代わって勝負することも。普段アシストを専任としている選手が大舞台で勝利を掴む姿は格別だ。


時にノーマークの選手が鮮やかに勝つ。アシストの勝利はドラマだ。Photo:©Gettyimage

2月にオーストラリアで開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースでは、ベテランアシストのドリス・デヴェナインス(ベルギー/ ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利した。チームはエースのサム・ベネット(アイルランド)のスプリントで勝負する予定だったが、ライバルチームの攻撃により遅れてしまったため、急遽デヴェナインスにエース役をスイッチ。先行する小集団の中で見事に立ち回り、チームに勝利をもたらしている。
ちなみにドゥクーニンク・クイックステップにはデヴェナインスのようなエース顔負けのスーパーアシストが数多く揃っており、状況に応じてエースを変えながら戦うことで勝利を量産している。

若手選手はアシストとして経験を積み、徐々にエースを任されて成長していくというケースが一般的だ(一部、加入直後からエースとして大活躍する規格外の若手も存在する)。また、一芸に秀でたいぶし銀の選手や、昔はエースを張っていたが今はアシストとしてチームを支えるベテランなどもおり、「その他大勢」に見えがちなアシスト選手達もなかなかに表情豊かなのだ。

縁の下の力持ち、アシスト特集-ディスクブレーキモデルで戦う2019シーズン開幕>

【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。ロードレース観戦初心者向けイベントでお伝えしている内容をブログ記事にさせていただくことになりました。2020シーズンはまだ始まったばかり、気軽な観戦ガイドとしてお読みいただけると嬉しいです。

関連記事:
RETUL FIT(リトュールフィット)体験<フィッティング編>(2020年2月27日)
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勝つためのタイヤ、S-Works Turbo RapidAir Vol2チームメカニック&開発者インタビュー(2019年11月15日)
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2020/03/11

ロードレース観戦基本のキ @ロードレースって、一体何をしているの?

「よくわからない」と言われがちなロードレース、今年は観戦してみませんか?見どころやポイントを全3回に分けて解説します。

ロードレース観戦基本のキ @ロードレースって、一体何をしているの?

ロードレース。ロードバイクに乗り、定められたコースを走り着順を競う競技である。
近代五輪最初の大会であった1896年アテネ五輪から続いている競技はたった5つだが、そのうちの1つが自転車競技だ(ちなみに第1回大会では個人ロードレースとトラックレースが開催された)。
そんな歴史あるロードレースだが、日本での観戦人口は他のスポーツと比べると控えめ。ロードバイクには乗るけど観戦は…という方も多い様子。ルールがよくわからない、どうやって観ればいいのか、そして何が面白いのかわからない、という声も聞く。
そこで、ロードレース観戦に馴染みのない方に向けて、基本的な情報や知っていると面白さ倍増のポイントを紹介していきたい。と言っても難しい話はなし。スペシャライズドのバイクでライドをするように、楽しく気軽に読んでいただければ幸いである。

基本はチームスポーツ
レースによっては200人近い人数が参加するロードレース。彼らは、たった1人の勝者を決めるために戦っている。
そう書くと個人競技のようだが、ロードレースはチームスポーツだ。4〜8人のチームで勝敗を競う。チームは勝利を狙う「エース」と、そのエースを支える「アシスト」で構成されている。


1人のエース(この写真では黄色いジャージを着た選手)を勝たせるためにアシスト達は全力を尽くす。 Photo:© 2020 Getty Images

エースの勝利はチームの勝利。この「1人を勝たせるためのその他大勢」という図式がロードレースの特徴である。これが「どの選手が何をやっているか謎」というわかりにくさの原因でもあるのだが、役割分担だと割り切ろう。サッカーやラグビー、アメリカンフットボールにおけるポジションのようなものだと思ってもらえればよい。


ロードレースでは何よりもチームワークが大事。トレーニングキャンプでゲームなどを通じたチームビルディングに取り組むことも。Photo:©Velo Images

チームに勝利をもたらす「エース」

勝ち星を上げるエースはレースの華だ。それぞれが得意とするコースレイアウトを持つ。厳しい登りが得意なクライマーは山岳を飛ぶように駆け上がり、瞬発力に優れたスプリンターは時速80qを超えるスピードでフィニッシュラインを争う。春先に多く開催される石畳や急坂が登場する過酷なワンデーレースを専門とするクラシックスペシャリストなどもおり、レースによりエースを務める選手は異なるが、その数は各チーム数人とそう多くはない(エース級のスター選手を大勢抱える強豪チームも存在するが…)。
彼らを覚えておくとロードレース観戦がより楽しくなる。スペシャライズドライダーから2人のエースを紹介しよう。

1人目はジュリアン・アラフィリップ(フランス/ ドゥクーニンク・クイックステップ) だ。昨シーズンは12勝(ちなみに最上位カテゴリチームに所属する選手の中で5位)、特に世界で最も有名なレースである「ツール・ド・フランス」では快進撃を見せ、暫定首位の選手にのみ着用が許される「マイヨ・ジョーヌ(黄色いジャージの意)」を全21日間中14日間着用した。
爆発力のある走りが持ち味で、あらゆるコースレイアウトで活躍するオールラウンダーと呼ばれるタイプの選手である。彼が得意とする急坂では、軽量のオールラウンドバイクS-Works Tarmac Discを選ぶことが多い。


春の嵐、止まらないアラフィリップの快進撃-Tarmac、そしてVenge、スペシャライズドと走った軌跡を振り返る>
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登り、下り、そしてスプリントもこなす万能型ライダーのアラフィリップ。Photo:© 2019 Getty Images


年間最優秀自転車選手に与えられるヴェロドールを受賞。私服姿はまるで映画俳優のような端正さ。Photo: ©Alexis Réau/L’Équipe

2人目はペテル・サガン(スロバキア/ ボーラ・ハンスグローエ)。独特の存在感からロードレース界の人気者で、「スーパースター」という言葉がこれ程似合う選手は他にいない。2015年から3年間世界王者の座に君臨、屈指の勝負強さを誇る実力派だ。
サガンもアラフィリップと同じく幅広いコースレイアウトに対応する選手だが、「ツール・ド・フランス」における最強スプリンターの証「マイヨ・ヴェール(緑色のジャージの意)」を史上最多となる7度獲得するなど、 特にスプリントに強い。エアロ性能に優れたS-Works Vengeがお気に入りだそう。

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位置取り、タイミング、ライバルとの駆け引きなど複数の要素が絡み合うスプリントで強さを誇るサガン。Photo:©Cycling image


お茶目でサービス精神旺盛なサガン。観客にウィリーでご挨拶。Photo:©Bettiniphoto
 

実は陰の主役「アシスト」

エースの影に隠れがちだが、アシストの動きに注目するとレース観戦がぐっと面白くなる。アシストの働きぶりでレースの展開が変わってくるからだ。
アシストの仕事は、一言で言うと「いかにエースを温存したまま勝負所へ届けるか」である。そしてレースにおける勝負所は終盤に設定されていることが多い。従って、大体レース序盤〜中盤までがアシスト達の仕事の時間だ。彼らの働きぶりをいくつか紹介しよう。

アシストの働き(1)ペースを作る

アシスト達はエースの前に集結し、エースを守るように走る。エースが走りやすい、かつライバルチームが攻撃を仕掛けにくい速度でペースを刻み、余計な動きを封じ込める。先行する集団がいれば追い付くための速度も計算しながら、危険なポイントではトラブルを回避するための位置取りを行いつつ走る。


エースを守りながら同じチームの選手達が一列に並んで走る様を列車に例えて「トレイン」と呼ぶ。Photo:©Bettiniphoto

実はこれがロードレースにおける「同じジャージを着た人達が並んで走っているけど、何も起こっていないように見える時間」の正体である。何も起こっていないのはアシスト達が優秀だからとも言える。あなたがあくびを噛み殺す瞬間、彼らは絶賛お仕事中であることを少しだけ思い出してあげてほしい。

アシストの働き(2)風除けになる

ロードバイクに乗る人はよく知っていると思う。ロードバイクとは空気抵抗との戦いであることを。
向かい風や横風が吹けば、あっと言う間に体力を奪われてしまう。そんな時は大柄で馬力のあるアシストの出番だ。風除けとして、自らの身体でエースを守る。


同じチームの選手達が一列に並んで走る様を列車に例えて「トレイン」と呼ぶ。先頭を牽いているのはドゥクーニンク・クイックステップのティム・デクレルク(ベルギー)。
190pの長身でパワフルに走る姿からニックネームは“El Tractor”(トラクターの意)。Photo:©Gettyimage

 

アシストの働き(3)補給を届ける

ロードレースの競技時間は長い。レースによっては7時間近くになることもある。長時間ペダルを回し続けるために、レース中の補給は必須。水分とカロリーを、ドリンクと補給食から摂取している。


一日のレースで摂取するカロリーは6,000〜8,000kcalに達するという。補給も立派な仕事だ。Photo:©Gettyimage

大量の補給をロードバイクに載せて走るわけにはいかないので、大抵の場合チームカー(監督やメカニックが乗ったサポートカー)にまとめて積んである。必要なタイミングでアシストがチームカーに取りに行き、それをエースはじめチームメイトに配るのである。


補給が入ったサコッシュ(小さく軽いショルダータイプのバッグ)をレース中に受け渡す選手達。Photo:©Bettiniphoto

チームカーは選手達の後方を走っていることが多いので、一旦そこまで下がってから全員分の補給を持って再びチームメイト達に追い付く必要がある。これが結構大変なのだ。想像してみてほしい。500mlボトル1本が約500gとして、4本あれば2sになる。重りを持ってインターバルトレーニングをするようなもので、かなり体力を消耗する。


真夏のレースではボトルは文字通り「命の水」。ただし大量に運ぶのは大変。Photo:©Gettyimage

補給がなければエースがハンガーノック(燃料切れ)になってしまうので、アシスト達はせっせと補給を取りに行き、配る。しかもタイミングを間違えるとライバルチームが攻撃を仕掛けてきて置き去りにされる、なんてこともあるので一瞬たりとも気が抜けないのである。

アシストの働き(4)いざという時は自ら勝つ

万全の体制を敷いていても予想外は起きる。エースも人の子、調子が悪い日もある。
そんな時はアシストがエースに代わって勝負することも。普段アシストを専任としている選手が大舞台で勝利を掴む姿は格別だ。


時にノーマークの選手が鮮やかに勝つ。アシストの勝利はドラマだ。Photo:©Gettyimage

2月にオーストラリアで開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースでは、ベテランアシストのドリス・デヴェナインス(ベルギー/ ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利した。チームはエースのサム・ベネット(アイルランド)のスプリントで勝負する予定だったが、ライバルチームの攻撃により遅れてしまったため、急遽デヴェナインスにエース役をスイッチ。先行する小集団の中で見事に立ち回り、チームに勝利をもたらしている。
ちなみにドゥクーニンク・クイックステップにはデヴェナインスのようなエース顔負けのスーパーアシストが数多く揃っており、状況に応じてエースを変えながら戦うことで勝利を量産している。

若手選手はアシストとして経験を積み、徐々にエースを任されて成長していくというケースが一般的だ(一部、加入直後からエースとして大活躍する規格外の若手も存在する)。また、一芸に秀でたいぶし銀の選手や、昔はエースを張っていたが今はアシストとしてチームを支えるベテランなどもおり、「その他大勢」に見えがちなアシスト選手達もなかなかに表情豊かなのだ。

縁の下の力持ち、アシスト特集-ディスクブレーキモデルで戦う2019シーズン開幕>

【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。ロードレース観戦初心者向けイベントでお伝えしている内容をブログ記事にさせていただくことになりました。2020シーズンはまだ始まったばかり、気軽な観戦ガイドとしてお読みいただけると嬉しいです。

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2020シーズン開幕 Allez Sprint Disc(アレースプリントディスク) × ツアー・ダウンアンダー(2020年1月30日)
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