2017.11.09

TEAM TARMAC Vol.5 レース前の過ごし方と、レース本番の走りかた&補給について

早いもので、直近の目標としている「ツール・ド・おきなわ」が開催直前となりましたが、今回はレース本番にどう臨むのか、走り方や補給について3人が話を繰り広げます。

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レースまでの1ヶ月、1週間をどう過ごすか

ーこの記事が掲載される頃には本当に「ツール・ド・おきなわ」の本番が迫っているわけなのですが、例えばレース本番前の1ヶ月や1週間って、どう過ごしているんでしょうか。例えば新井さんはブログを拝見すると、この10月は雨が多い中でも実走1,200kmをこなし、10月のTSS(トレーニング・ストレス・スコア)は約3350。ここから本番まではどう過ごされるのでしょう。

新井 「レース1週間前は、乗って練習はしますが、軽く刺激を入れる程度です。30秒のスプリントをやったり、ローラーに1時間乗ったりして、カラダの様子を見つつ、足を回して感触は忘れないようにします。どこまで追い込めるかは、回復量によってきます。トレーニングの指標としてTSSやCTL(長期のトレーニング負荷)、TSBがありますが、これらは回復量を反映するものではありません。カラダにどのくらいの負荷をかけたら、どれくらいで回復するのか。回復はトレーニングと同じくらい大事で、難しく、ミソなんです」

安藤 「新井さんはすごく考えていますね。私はどちらかというと、ゆる〜く、ふわ〜っとした感じなので。いつもの練習も、まずは乗ることを重視して、土日は100kmくらい、平日は30kmくらいで、その中に坂の反復練習を取り入れるといった感じで、レース前の1週間だから変えるとか休むとかといったことは、ありません。この程度の練習量であれば、そこまで考えることもないかなと。それよりも、忙しくて乗れない時は本当に乗れなくなってしまうので、レース本番まで乗れないタイミングを作らないことが大事だと思っています」

佐藤 「ビジネスにもトレーニングにも、定量化と定性化の両方が必要なわけですけど、私自身はどちらかというと直感タイプなので、他の方がやっていることをこうやって聞くのはとても参考になりますね。私はツール・ド・おきなわまでなるべくビールを抜いて……仕事で出張やイベントが多く、長時間のライドはむずかしいので、通勤ライドを基本に、心拍を上げやすく、短時間で済むランニングを取り入れています。もちろん膝を壊さない程度にです。もちろん、ほとんどすべての参加者が仕事や家庭の制限のなかで、おきなわに臨んでいることは大前提なんですけどね」

「あと、レースに限らずここぞというライドの直前は、機材の調整や整備を1週間前に終わらせておくことが肝要かと。直前はチェーン洗浄くらいにとどめて、飛行機輪行後のボルトの固定と空気圧チェックくらい。ちなみにクリートの固定ボルトはレース3週間前にネジ止め剤を使って増し締めしました。シューズのBOAダイヤルも掃除して、とか。そうそう、タイヤは新品に交換しました。これは保険のようなものですね。間違ってもあせってフィッティング関係をいじらないことが大事かな。早めに整備を終わらせて、安心して臨みたいのに裏目に出てはいけませんからね。」

ー10月、関東は雨が多くて寒かったじゃないですか。その後すっかり寒くなっちゃって。でも沖縄は気温が高いですよね。気温差ってどうですか?

佐藤 「那覇空港に到着した瞬間から、体感温度が違いますよね。私が以前に140kmを完走した時には、事前にサウナに通いました。今回もサウナ通いはしておこうと思います」

新井 「夏に逆戻りする感じなので、対策は必要ですね。事前の食生活も気を遣わないといけません。レース本番は負荷が高いですから、消化の良いものを食べます。サプリメントも摂りつつ。脂肪は減らすけどスタミナは落とさないような工夫が必要ですね」

レース本番の走り方と補給

ー話は飛ぶのですが、ツール・ド・おきなわの市民210kmでレースをするにあたって、走り方の面で気をつけていること、気をつけたいことはありますか?

新井 「市民210kmの場合、最初の50kmは落車が多いんです。本部半島を回るまでは集団の密度が高いですしね。そして、何かしら道路工事をしていて路面が荒れているところもあったり、その影響で毎年微妙にコースに変化があったりします。だから毎年、本部半島だけは試走します。それだけでも、落車のリスクはぐっと下がる。走りかたの面では、急な動きはしないとか、基本的なことですね。ロードレースですから、何かしらのトラブルや、予期せぬこと、例えば路面に大きなギャップがあって……といったことはあります。ある意味、ラインの(周回ではない)レースですし、そういったことも含めて、ツール・ド・おきなわの魅力、醍醐味ですね。とにかく、落車しないのが大事です」

安藤 「新井さんのおっしゃるとおりですね。落車せずしっかり走り抜くには、しっかりと体調を整えることが大事です。体調は、集中力や判断力に直結します。普段どんなに走れている人でも、体調が悪ければボーッとしてしまう」

佐藤 「私はロードレースの集団内、とくに市民210kmの中では集団走行などの技量が低いと思っているので、いかに集団内で周囲に迷惑をかけないか。根がMTB乗りなので、自分勝手なライン取りをしないように気をつけたいと思います」

ー安藤さんが「体調が悪いと……」と話されていましたが、レース中の補給も当然ながら大事になってきますね。

佐藤 「5月に、久々に200km超を走ってみたのですが、見事に脱水して。脱水をなめたらいけませんね。初期の段階では自覚できないので、なおさらです。自分の感覚ではなく、30分で1本使うとか、時間当たりの定量を決めて臨むつもりです」

安藤 「レース中は補給所で水かスポーツドリンクを取れるので、それはしっかりもらうことですね。食べるものは、前半は固形物で後半はジェル。売られているパッケージの状態ではなくて、ジェルを補給用のチューブに移すなどして、摂りやすくする工夫はしています。あと、佐藤さんがおっしゃった脱水対策という意味では、前の日からしっかり水分を摂っておかないとだめですね」

新井 「私はレース中に摂るジェル類は、ボトルに溶かしてしまいます。1本は自分のスペシャル、もう1本は普通のスポーツドリンクです。『富士チャレンジ200』のとき用意したスペシャルドリンクは、OS1とカーボショッツでした。補給所では水とスポーツドリングがもらえるので、これはしっかりもらう。水は掛け水として使います。固形物は、本当は摂りたいけどレース前半は集団内が緊張していて、摂りにくいことが多いです。だからボトルに溶かして確実に摂れるようにします」

ー安藤さんと新井さんとで、共通する部分と異なる部分があって面白いですね。

佐藤 「私みたいに、集団内での動きに不安がある場合は……」

新井 「溶かしておいたほうが良いです。あと、脱水対策という意味では電解質も摂りたいですね」

―というわけで、いろいろとお話を伺ってきましたが、ツール・ド・おきなわ市民210kmの本番もいよいよ迫ってきました。最後に、レースに向けての意気込みを!

新井 「チームとしては、優勝したいと思っています。表彰台を確保したいと思ってやってきましたが、優勝するつもりで取り組まないと表彰台も難しい世界。しっかり調子を合わせて、悔いのないレースをしたいです」

安藤 「全力を尽くして、レースの中で見せ場を作りたいですね。逃げることができれば……」

佐藤 「まずは完走。使えるものはどんどん使って、いかにレースを生き残るか」

新井 「佐藤さんは、とにかく単独にならないのがいちばん大事ですね。私が初めて完走した時は、最後から3番目でしたが、どんな小集団でもいいから、一人にならないようにすれば、完走が近づきます。遅れて一人になると、追いつかないから、その時は後ろから来る集団を待つんです」

安藤 「そうやっていっしょに走った選手は、その後のレースや、次の年のツール・ド・沖縄でも会ったりするんです」

新井 「同じ集団になったりしますよね。お互いレベルもわかっていると、協力しやすくなる」

佐藤 「なんとかそうやって、交流ができるといいなぁ……。自分自身の目標はもちろん、チームとしても目標を達成して、みなさんにさまざまなフィードバックができればできればと思います」

ーここにはいらっしゃらないけれど、TEAM TARMACの主要メンバーである藤岡徹也さん(シルベストサイクルみのおキューズモール店店長)、藤田勉さん(スペシャライスド東京)、そしてTEAM TARMACに参加されるユーザーの皆さんの走りに、期待したいと思います。レース後の振り返りが、楽しみです。

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【TEAM TARMAC 主要メンバーの紹介】
新井康文(BIKE SHOP FORZA) 「BIKE SHOP FORZA」(茨城県つくば市)の店長にして、日本でいちばんS-WORKSを売った実績をもつ男。「ツール・ド・おきなわ」への参戦経験も豊富で、TEAM TARMACではキャプテンを務める。2016年のツール・ド・おきなわ 市民210kmクラスを16位で完走。32歳。

安藤光平(Bicicletta SHIDO) 「Bicicletta SHIDO」(東京都狛江市)の店長。実業団チーム「FIETS GROEN日本ロボティクス」に所属するJプロツアー参戦ライダーという顔も持つ。2015年のツール・ド・おきなわ 市民210kmクラスを106位で完走。シクロクロスも国内最高峰のJCXシリーズで走る。32歳。

佐藤修平(スペシャライズド・ジャパン) スペシャライズドが提供する製品やサービスについて販売店やエンドユーザーへと伝える「SBCU」(スペシャライズド大学)のマネジャー。日本のトップ市民レーサーに憧れ、3年前に「ツール・ド・おきなわ」市民140kmを完走。とはいえロードレースはまだまだ未知の領域。43歳。

【筆者紹介】:須貝弦
万年ビギナー状態と言い続けて20年、それでも自転車で地元の里山をめぐることを心のヨリドコロとするフリーライター。年に1度だけ、レースにも出ます。

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