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SBCUコウジ先生と読み解く、MTB、その楽しみかた Vol.05 「なにそのサドル、新しい!」

2017/08/23

SBCUコウジ先生と読み解く、MTB、その楽しみかた Vol.05 「なにそのサドル、新しい!」

コウジくんが最新サドルを付けたまでは良かったけど、締めが甘かった話。

SBCU先生の渡辺孝二さんことコウジくんは、50才になった記念にMTBのXCレースに出ることにした。そのレース、全日本選手権の当日がやってきた。

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それまでの経緯はVol.02をお読みいただきたいのだけれど、コウジくんと知り合った頃は、50歳になるなんて思ってもいなかった。そういう書き手の私、中村浩一郎はあれだ。オリンピックが来るぐらいに50歳になる。そんな話はどうでもいいのだが、どうでもよくないのは、コウジくんがレースのために付けた最新のサドルである。なんか『新しい』のだ。

-----レース前日-----

コウジくんは基本、真面目な自転車野郎なので、やるならきちんと本気で全開で自転車に向き合う。レース前日の試走時からテンションは上がりっぱなしだ。

コウジ「コースに慣れなきゃいけないね。今どきのクロカンって、こんなコースだったんだね。岩だらけのロックガーデンはあるわ、ちょっとしたドロップオフもあるわ時代に取り残された感じもあるね」

トレールで時代遅れになることはないけれど、レースシーンには時代遅れってものがある。それに気がついたコウジくんだ。イメージとどう違った?

コウジ「ジェットコースターみたいにコースの変化が続くんだ。ライダーを休ませない、っていう。もちろん休んでいたらダメなんだけど、次から次へと押し寄せてくるものへの体の対応、みたいなことかな」

コイチロ「なるほどね、で、その後バイクは何か変えたの?」

コウジ「うん。まずホイールを借りた。Roval Control SL 29。これでヤル」

コイチロ「まあ貸してもらえるホイールあるって環境は感謝しないとね。さすがSBCU先生ってところでひとつ」

コウジ「で、サドルも新しいのにしたんだ」

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コイチロ「え、なにこのサドル、新しい! なんでこんなに短いの? いいのこれで?」

コウジ「うん、《アーク》っていう新しいサドルなんだけどさ、先が3センチぐらい短いの。ほら、MTBって体幹でバランスとるでしょう。そこで太ももと腰の自由度を高めよう、っていう考えなんだよね」

コイチロ「へー、でも座って漕げるの?」

コウジ「大丈夫だよ。横方向に少しエラが張ってるから、お尻を乗せやすい。厚みがあるからサイド部のサポートはむしろしっかりしていて、抑えてくれる感じ。MTBって登りとかだとお尻を微妙に移動させながらバランス取るんだけど、動かしやすくて座りやすいっていう感じかな」

コイチロ「いいね、あとは今どきのコースを最新のフィットと往年のテクニックで攻略するだけだ。がんばってね」

コウジ「がんばるよ」

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-----レース当日-----

コイチロ「お、コウジくん、おはよう。あれ? なんでもう走ってんの? マスターズの出走はお昼でしょう」

コウジ「うん、登録できるクラスを間違えていたんだ。チャレンジクラスのエントリーで…ごめん」

コイチロ「えーなんだよー、見られなかったけど、それよりコウジくん、レースどうだったの?」

コウジ「サドルがね」

コイチロ「お、サドル調子良かった?」

コウジ「サドルは良かったんだけどね、自分がついていってなかった。機材は『速く行こうぜ』って言うんだけど、体がついて行かないんだ」

コイチロ「おー、50才の挑戦、最初のレースから撃沈された?」

コウジ「で、サドルなんだけどね、ぜんぶで2周のレースなんだけど、1周目最初のロックガーデンで飛び乗ったら、サドルの先が上がっちゃったんだ」

コイチロ「サドルの先が上がる、ってアークに先っぽ、そもそもないじゃん(笑)」

コウジ「いやそうなんだけどさ、オレ体重があるから、飛び乗った衝撃で瞬間的に力がかかってサドルがすごく前上がりになっちゃったんだよね。メカサポートで工具借りて、直して乗ったけど、あれは大幅なタイムロスになった」

コイチロ「最新のサドルなのにコウジくん、詰めが甘かった!」

コウジ「レースってなると、どんな力がかかるかわからないね。これも対策しなくちゃ。そしたら今度はドロップオフで転んでエンドを曲げちゃって。サドル座れないから上りを立ちこぎしていたら、エンドが曲がっているからチェーンがロー側に落ちちゃって。借り物ホイールなのに。もう直しながらボロボロになって走ってね。

まあきっちり洗礼を受けたかなと思うよ。もうちょっと準備をしっかりすべきだったなぁ。空気圧とかはしっかり管理して準備したんだけど、甘くないね。50才の挑戦、最初にガッツリやられました。最新のサドルは最高だったのに(笑)」。

と、50歳で走ったはじめてのレースを振り返るコウジくん。MTBレーサーのベテラン、エンデュアライフの竹谷賢二さんが隣にいたので、練習を一緒に走ったコウジくんの走りを評価してもらうと。

「あのね、まだイケる、まだイケる、と思って走るでしょう。イヤイヤイヤ、そうじゃない、そんなにガツガツいくよりも、一拍置いてから走った方がホントは速いんじゃないの。落ち着けよ、って感じですね(笑)」

そういわれてコウジくんは苦笑い。次のレースこそ、悔いなく走りきってもらいたいけどね。

【著者紹介】:中村浩一郎
MTBがらみのあたりに居続けて、MTBがらみのことを書き続けてもう25年になるんです。イヤね。コウジくんの悔しがりようとは違って、全日本選手権は面白かったよ。Cyclesport.jpに全日本のレースレポートを書いたのだけれど、平林安里くんのコメントがますますしっかりしてきて、頼もしいと思った。

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